天才投資家マイケル・ベーリの予測

28.04.2016

Photo: Maui Watch

 

 今年話題となったマイケル・ルイス原作の『世紀のカラ売り~世界経済の破綻にかけた男たち』を映画化した『マネーショート~華麗なる大逆転』のなかで、サブプライム・ローン証券の破綻が将来起きると最初に予測した、マイケル・ベーリ氏は、近い将来グローバル金融システムの崩壊が起きると予測している。

 

 

2008年のサブプライム・ローン破綻を予測

 医師で、ヘッジファンド (Scion Asset Management)の創立者、CEOでもあるマイケル・ベーリ氏は、2005年に米国不動産市場を調べていくなか、住宅ローンのうち、リスクの高いサブプライム・ローン(低所得者向けの住宅ローン)が格付けの高い金融商品に組み込まれ、信用度の高いはずの商品が少しずつ利回りを下げている事に気づく。住宅ローン返済の滞納率が上がっていることに注目した彼は、リスクの高いサブプライム・ローンが含まれていることを発見する。

 

 不動産市場が、サブプライム・ローンでバブル状態、2007年には破綻すると確信し、破綻に掛ける空売りポジションをとった。ベーリ氏は不動産市場の安定を疑わない投資銀行との間のCDS(クレジット・ディフォルト・スワップ:債権に対する保険)取引で、巨額の保険金を受け取り、8 億ドルの収益をだした。

 

 

グローバル金融システムの崩壊は近い

 ニューヨーク・マガジンとの最近の取材で、マイケル・ベーリ氏は「あらゆる数字を分析した結果、グローバル金融システムは崩壊するとし、またかつてない速さで崩壊に向かっている。」と指摘し、以下のように述べている。

 

 

破綻が避けられない金融システムについて

 「金融システムの崩壊が起きるかの問題ではなく、いつ起きるかが問題である。金融システム全体が腐っている。」

 

 「金融市場を率直に、偏見を持たずに調査すれば、金融システムの弱点を見抜くことができ、同じ結論に達すると思う。」

 

破綻を避けられない理由について

 「金融緩和策で経済成長を図ろうとしているが、その効果はない。金融緩和策は格差を広げ、極端な政治が広がりを見せている。マイナス金利政策の採用が世界でひろがっているが、それは致命的となる。金利はリスクの評価に使われる為、現在の状況下ではリスク評価メカニズムは機能しない。このことは経済に悪影響を与える。金融システムのなかで、大変な規模のストレスが溜まりつつある。」

 

将来について

 「債務の拡大、特に国の債務の拡大が心配である。債務は最終的には国民が負担することになる。FRBのバランスシートを見ても、レバレッジは77:1である。全く不合理なことで, 理解できないことである。」