Photo: NASA Science News
2008年9月30日に太陽黒点の研究者たちは2008年が「太陽無黒点の年」となることを発表した。「太陽無黒点の年」とは連続200日以上、黒点が観測されない年のことである。2008年より太陽に黒点が無い期間が続いた年は1954年にさかのぼる。
1954年以降、50年にわたり太陽黒点が観測されない年はなかった。上の写真はSOHO(Solar and Heliospheric Observatory)が2008年9月27日に撮影したもの。黒点活動は11年周期で2001年、2012年が極大となり2008年は極小となる。
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1965年から2008年までの期間の太陽無黒点の年の無黒点期間を調べてみると以下のように、無黒点期間が増大していることがわかる。黒点活動の低下が意味するものは何か。2008年の太陽無黒点の期間の長さは1955年以降、最大となるが、19世紀及び20世紀の中にあっては、もっと長9観測された年もあった。
「静かな太陽」で太陽観測が適しているため、天文学者の中には歓迎する者もいる。黒点がなければ太陽表面での対流や内部の磁気ダイナモ(注1)の観測がしやすくなるからである。
(注1)太陽内部を流れる環状電流によって太陽磁場を生成するメカニズム
一方では黒点活動が地球の気候にも大きな影響を与える。2008年の極小期とピークを挟んで反対側にある2016年は黒点活動が低い。太陽黒点の低い期間が長く続く期間は「マウンダー極小」と呼ばれる1645年から1715年のミニ氷河期が有名で、この時期はテームズ河が凍りついたことで知られている。
Source: joannenova.com.au
地球上に降り注ぐ正味の太陽エネルギー密度は1kW/m2で、カロリー換算で約42兆カロリー/秒、大雑把には1時間が全地球のエネルギー消費の1年分に相当する。膨大な太陽エネルギーの恩恵を受けてきた地球であるが、太陽活動のバロメーターである黒点の減少はミニ氷河期が近い(2025年-2035年)ことを示唆する。