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ドイツとフランスは新しい司令部設置や軍隊のより迅速な配置などを含むEUの軍事協力を強める計画を進めることになった。このための緊密な軍事協力計画は2016年9月11日に両国の防衛大臣によって明らかにされ、ドイツとフランスの新聞で報道された。
フランスのフィガロ紙(Le Figaro)によれば、両国間の軍事協力を強めることは最近、脅かされている欧州の安全保障の保全のために、EUの軍事的協力体制が必要だとしている。これまでNATO的な欧州軍事連合を作る動きに英国は反対してきたが、英国がEU離脱を決めたことを考慮してEU防衛連合構想を考慮すべき時が来たとしている。
EU防衛連合の当面の任務としては、難民の密入国を援助する組織や海賊への対策がある。統一司令部の元での医療支援や物資補給の拠点を作り各国が足並みを揃える必要があるとしている。また空輸など戦略的な作戦遂行の能力を高め衛星情報の共有なども含めて行くとした。
また現在はストラスブルグにあるドイツ、フランス、ベルギー、ルクセンブルグ、イタリア、ポーランドの軍隊からなる欧州合同軍がEU議会の決定でより迅速に展開することができるようにする。またEUに参加する小国の部隊が一つの軍隊(EU防衛連合)に組み込まれて行動できるようにすることになるとしている。
Source: centerforsecuritypolicy
軍事調査、空輸、衛星、サイバー防衛、ドローンなどの軍事改革の実施にはEU予算でブリュッセルにある欧州連合防衛省が担当するよう提案している。またEUは今後、独自の軍事アカデミーによる軍事教育でEU防衛連合の意識を高めていく。シェンゲン協定のように軍事面でもEU独自の軍隊を持つことが必要だとドイツ防衛大臣はEU防衛連合の必然性を強調した。
欧州に危機が存在する以上、米国に頼りきるのでなく自身で自衛しようとする主張は正論である。国ごとの軍隊組織を置き換える趣旨ではなく、国別の軍事組織は維持するとしている。EU防衛連合に向けた軍事改革は2017-2018年度内に実施される。
何れにしてもEU防衛連合がこれまで欧州を束ねる防衛組織であったNATO結束力を弱めることになる。