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ドイツ銀行は欧州経済の低迷とマイナス金利政策で収益性は低迷、巨額なデリバティブ・ポジションや資本不足で破綻危機にある。時価総額約174.3億ドルのドイツ銀行は将来の収益性の改善の見通しは低く、今後、不正操作による金融当局による罰金、民事訴訟による損害賠償金や和解金、米司法省による140億ドルの制裁金などの支払いで、多額な資本増強が必要となる状況に追い込まれている。破綻危機が一段と深刻化している。
増加する罰金、損害賠償金、和解金、制裁金
ドイツ銀行は4月に、LIBOR金利(ロンドン市場においての銀行間のお金を貸し借りするときの指標金利)の不正操作で25億ドルの制裁金が課せられた。さらに、金・銀価格の不正操作による損失に対する損害賠償金の要求やロシアで40億ドルの不正取引と60億ドルの「ミラートレード」と呼ばれるマネーロンダリングの関与などに関して訴訟案件を抱えている。投資家による訴訟案件は7,000件以上に膨れあがり、将来発生すると思われる訴訟費用として約61億ドルを引き当てているが、今後巨額な追加資金が必要となってくる。
9月15日には、2007~2009年の金融危機の引き金となったサブプライム住宅ローン担保証券の販売で、米司法省から140億ドル(約1兆4,000億円)の制裁金の支払いを要求された。これは司法省が外国の銀行に対して請求した倍賞金額としては史上最高である。ドイツ銀行が、訴訟費用として準備している61億ドルの2倍以上の額である。ドイツ銀行は要求された制裁金の金額には応じないと、交渉による金額の引き下げを目指しているものの、状況は厳しいとされている。
ブルームバーグによると、2008年からこれまで罰金や和解金などでドイツ銀行は90億ドルを支払ってきた。司法省の制裁金が40億ドルを越えれば、今後発生する訴訟費用に対応するための予備資金を追加しなくてはならない状況に追い込まれる。
しかし、ドイツ銀行が抱える問題は、現在進行している訴訟案件や今後起こされる訴訟による和解金や損害倍賞金、金融当局による制裁金が金額的にどれほどに上るのかが予想できないことである。長期期間にわたり、訴訟費用が積み重なっていく状況に対応していくのは不可能である。先行きが不透明な訴訟費用の増加で、ドイツ銀行の破綻は現実味を増している。