ルフトハンザ系列のLCC、Germanwings社のA320機の墜落の報道は最初から奇妙な点が多かった。A320機はバルセロナからデユッセルドルフに向かう途中、高度1万メートルの巡航高度に達した直後に、急降下し3,000フイート2,000mでは標高3,000mクラスの山々が連なるアルプスを越えられるはずはない。
墜落後いち早くフランス大統領が声明を出し未確認でありながら生存者はいないと言い切った。仲が悪いはずのドイツ首相が現地入りして、オランド大統領が寄り添った。両国首脳が真剣に話し合うことは欧州全体に関わる政治的な出来事が起こったかのような印象であった。
ちなみにA320は古い機体だが6000機以上製作された傑作機(注)であり、信頼性は高い。またルフトハンザ航空は世界で唯一の機体整備に委託を使わない優秀な技術陣を自社で抱え、整備ミスはあり得ない。天候は穏やかでダウンバーストや強風の可能性は無い。また墜落前に救難信号が出ていないことから機体の異常(例えば気圧の異常低下など)も考えにくい。
(注)民間機発のフライバイワイヤ操縦システムを持つ。現在では一般的な装備だが実用化したのはA320であった。
その後、フランス検事局が記者会見を行ない、日本の報道の言葉を使えば「驚くべき」新事実がわかったことを発表。検事は飛行機が降下を始めたときにコックピットには副操縦士、Andrea Lubizしかいなかったこと、コックピットからいったん外に出て入ろうとした機長が閉め出された事実(音声データ)を伝えた。
このため副操縦士が故意に旅客機を墜落したと推論されるにいたったが、この時点で副操縦士が自殺したか、911のように自爆テロを決行したかの説に行き着いた。副操縦士が訓練中に訓練プログラムを一時中断したことや、鬱病であった時期があったことから、自殺説が有力とする報道が相次いだ。
そのような状況の中でドイツの新聞、German PI-Newsの記者Michael Mannheimerが核心に迫る記事をかいた。Andrea Lubizがイスラム教に改宗していたというのである。訓練プログラムを中断した6カ月の間に彼はイスラム教徒になっていた。捜査当局によれば本人の自宅から捜索の結果、事件の核心に迫る証拠が押収されたという。証拠資料の詳細は後日の発表を待ちたい。The Daily Mailによれば一方、彼が通っていたブレーメンのモスクが現在の捜査対象になっている。
911におけるMuhammed Attaのごとく、モスクにおいて自爆テロで殉教者となるような命令を受けたのだろうか。報道、政治家、イスラム進学者達が精神障害による自殺説で済ませるなら、911同様に真実は闇の中に葬り去られる。
今回の事件のもうひとつの被害者はLCCであり、それを支えるエアバス社かも知れない。911の教訓から客室側からコックピットに侵入することができないようにドアが施錠されたが、今回は裏目にでた。この事件をきっかけにボーイング社は自社が開発したオートパイロットを解除できない安全装置の採用を呼びかけている。
この装置は一旦動作すると、着陸して担当官が解除しない限り、オートパイロットを解除して勝手に飛行ルートを変更できない。この事件をきっかけに様々な設計思想が異なる欧州連合のエアバスとボーイング社の攻防が一段と強まるだろう。Michael Mannheimerの記事が正しいかどうかは捜査当局の押収した証拠品に関する発表ではっきりするだろう。