液晶TVの値下がりは著しい。もちろんメーカーや型式で違いはあるが標準的なスペックでいえば、32インチで3-4万円、42インチで6-7万円といったところだろう。若い世代が気になるスマホの価格と通信料金は割高が続いたままである。スマホもメーカーと型式で千差万別だが最新型で6-7万円といったところであるが、何故スマホはコモデテイ化が遅れているのだろうか。
スマホの場合は新規・のりかえで2年契約すると機種費用が実質0円になる。この2 契約(2年縛り)はユーザーの囲い込みに有効であるが、1年毎の高額機種のモデル更新と関係して顧客優先の商法とはいえない。結果、ほんの少しだけ新しい機種を契約に合わせて2年毎に更新し、顧客であるユーザーはメーカーとキャリアの経営持続性に貢献することになる。
一般的なスマートフォンの契約(注)は、2年間の継続利用が条件で、基本料金や端末料金を割り引く制度となっている。しかし「解約期間」はわずか1カ月でそれ以降に解約しようとすると、およそ1万円の解約金が発生する。
(注)スマホの料金プランはこれまでの、インターネット定額で、通話は他のキャリアの端末にかけると割高であったが、最近の料金プラン変更でし、各社とも通話定額料金+インターネットの情報量(パケット)で課金+300円のネット接続料金となった。スマホが増えたため情報課金する方が利益が大きいためである。
2年縛規制緩和の議論もあるが、これがなくなると今度は割引がなくなり高額スマホの購入費がのしかかる。一体スマホにつぎ込む6-7万円は妥当なのだろうか。リサーチ企業のIHSが最新モデルのiPhone 6と6 Plusを解体して分析した。
IHSはそれぞれ製造原価は200ドル(約2万2000円)から247ドル(約2万7000円)、216ドル(約2万3000円)から263ドル(約2万9000円)程度である、と推定している。つまり液晶TVなみの価格競争があれば同様のコモデテイ化が(原理的には)期待できるということだ。もちろんそうなれば薄利多売となりappleの経常利益の大幅縮小は必至だ。
iPhone 6の日本での販売価格は16GBモデルが6万7800円、64GBモデルが7万9800円、128GBモデルが8万9800円である。iPhone 6 Plusは16GBモデルが7万9800円、64GBモデルが8万9800円、128GBモデルが9万9800円となる。しかし、16GBモデルと128GBモデルの原価にはわずか47ドル(約5100円)の差しかないのに販売価格は2万円も異なる。こうしてappleは50%を越える利益率を得ている。
筆者はiphoneを3Gs、4s、5sと更新して来たが、2年しばりのため今回は6に更新できなかった。なので契約更新の来年に予定されているプチ新型6sを待たなくてはならない。しかしその先には7、8と続くため、永久に2年ごとに6-7万円をスマホにつぎ込まなくてはならない。どこか違うのではないだろうか。中国でさえもスマホ販売が飽和に達し1億台の在庫を抱えているといわれるが、今後5年間で世界のスマホ人口は59億と予想されるが、そのためにはコモデテイ化はやむを得ないのではないか。
コモデテイ化を食い止め利益率を上げるために2年毎の正式世代の狭間にsモデルを送り込み、関連商品とアクセサリを売りまくるappleには幻滅を感じざるを得ない。コモデテイ化はアンドロイドの方が早いだろうから、appleも結果的に利益率を下げざるを得ない。そうなると高級品を富裕層に売る商売に頼らざるを得ないのが高級モデルが240万円というApple Watchを世に送り出すモチベーションなのかも知れない。皮肉にもApple Watchの中身が明らかにされると株価が大幅に下がった。やはり将来はスマホのコモデテイ化は避けられないようだ。