Photo: PET
2019年にオリンピックの都心と臨海地区を結ぶスマートバスシステムBRT(Bus Rapid Transit)が結ぶこととなった。BRTは車道を走るFCVバスで既存の技術を使うゼロエミッションの公共交通機関だが、世界各国で検討されていてすでに実用化されている都市もある(写真はブラジル、クリチバのBRT)。
2020年東京オリンピックのBRT
ルートとしては現在整備中の環状2号線を軸に虎ノ門‐新橋‐勝どき‐晴海‐市場前‐有明テニスの森‐国際展示場を結ぶ予定。東京駅や東京テレポート駅を結ぶルートについても検討されている。1時間に最大で2,600人程度の輸送が可能であるが、オリンピック後には1時間当たり4,400人程度を運べるようにするという。
モノレールなど新しく軌道を建設する必要のない自動運転システムの都市交通システムは多くの都市で導入されており、環境保全と渋滞緩和に役立っている。日本では1980年に茨城県のつくば研究学園都市に導入予定であったが石油危機で流れた経緯がある。
メリーランド州の路線は同州の南北を結ぶ幹線として急速に発展しつつある近郊と郊外が結ばれる。MTA(Maryland Transit Administration)はこの道路の渋滞を緩和するためにBRTとLRT(注)を計画した。
(注)LRT(Light Rail Transit)
ULTra(Urban Light Transit)とも呼ばれる。簡単な軌道上を運行する新交通システムであるが、基本的には既存技術のため低コストで空港と都心を結ぶヒーストー空港や空港内のターミナル間を結ぶシステムが有名である。
Photo: ITDP
FCV-BRTで水素社会へ
東京都が導入を計画しているBRTはFCVなので燃料は水素ガスとなる。このため水素ガスステーションの導入が同時に必要となるため、計35箇所の水素ステーションが建設され、水素社会のアピールを狙う。選手団は羽田からBRTで都心に、また宿舎村のある臨海地区に移動できる。
BRTの運行は自立した自動運転技術となるが、これを支援するのがPTPS(Public Transportation Priority Systems)で、道路に設置した光ビーコンを利用してBRTに搭載された機器からの車両情報を受け取り、交差点を通過するときに優先的な信号制御を行い、ノンストップで円滑な走行が確保される。
Photo: STREETSBLOG NYC
FCVバスはFCとハイブリッドを含めて世界各国で運行が始まっている。新交通システムの便利さ、快適性を決めるのは利用者に答えるオンデマンドのソフトと使用台数で決まると思われるが、FCVのメリットは個人より法人と公共交通機関だろう。
東京の新交通システムは都心と臨海路線以外に拡大したい。労働組合の反対があるだろうが、そうしたBRTの運行と保守で雇用していけばよい。現在は2億円(1億円は支援される)とされる水素ステーションの設置は民間に託すより、公共交通機関用に施設整備するのが現実的である。なお緊急車両をPTPS対応とすれば専用レーンを安全に共有することもできる。
オリンピック招致のために必要だったメイン競技場は開催後は、維持が年間50億の「ハコモノ」となるという。「ハコモノ」施設への支出はなるべく低く抑えても、発展的なインフラとなるBRTは未来(水素社会)への賢い投資と考えられるだろう。
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