Hoverboardの真実

Nov. 11, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もともとHoverboardというのはSF映画"Back to the future"ででてくる主人公がボードのように、地上を浮遊して動き回る乗り物のことであった。しかしいま実現可能なHoverboardと現実的でない空想のHoverboardが話題をさらっている。


 JR東海が開業に向けて取り組んでいるリニア新幹線は超伝導磁石を使って反撥力で10cmほど地面から浮上して空気抵抗以外の摩擦抵抗なしに550km/hという高速で運行する次世代の列車である。すでに磁場で浮上する方式のMagRev trainとして上海リニアがあるが、空中浮遊をやってのけるHoverboardがあらわれた。

 


 同様な原理で永久磁石の床とボードに電磁石をとりつければ、反撥力で浮上しその上に人が乗るくらいは可能である。電磁石の磁力とローター渦電流の磁束との間で吸引力と反発力浮上させるのがHendo Hoverboardだ。Hendo社は出資を募るとともに、プロトタイプを製作しハーフパイプを低速で動き回る動画で紹介している。


 浮上高さ2.5cmというのは上海リニアの1cm浮上より高い。バッテリーで常伝導磁石なら寿命は数分だろうが、超伝導磁石と液体窒素なら運転時間は液体窒素の供給される間は可能だが、このサイズで液体窒素は実用的でない。Hendo社はどういうメカニズムで浮遊させるのか興味深い。超伝導のマイスナー効果を利用した直接浮上法もよく知られているが実用化にはまだ遠い。

 


 一方、実現できない「嘘の」Hoverboardで空中高く舞い上がるCG動画で人々を煙にまいたのがHUVr Boardという会社だ。こちらはMITの学生達が未来の交通機関を提案するプロジェクトで地上高く浮き上がるHoverboardというのは単なるイメージ(ジョーク)らしい。実現性がないのにインパクトのあるCGで話題をさらう現象。これは何を意味しているのだろうか。考えてみれば昔読みふけった付録満載の青少年向け雑誌の挿絵にあったことをCG表現しているだけなのかも知れない。

 

 

 それだけ市販されている製品に夢がないのである。いま使っている製品が最新型であっても、何年後にあらわれる次世代機はそこそこの性能で高いお金を使わされる。使わされる、といったのはもし抵抗すれば間違いなく不利益を受けなければならない。夢の無い製品にお金を使いたくないという人々の願望が空想の実現をCGで可能になりそれを共有して現実に目を背けるのではないだろうか。