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パリ同時多発事件を受けて、非常事態宣言が発令されてから、フランス警察当局は、イスラム過激派的思想(サラフィー・ジハード主義)を広めている疑いやイスラム国との関連のある人物、組織の調査を行ってきた。7日にはパリ郊外にあるモスクを閉鎖、銃器やイスラム過激派に関する書物を押収、指導者や関係者を逮捕した。これまで、パリ郊外にあるモスク3カ所、さらに計2,235カ所の住宅やビルが調査対象となり、計232人が逮捕、計334の銃器や弾丸が押収された。
米国のジハード・ネットワーク
米国でも、モスクで過激派的思想を広めている疑いが以前からある。元FBI対テロ班特別捜査員のJohn Guandolo氏は全米にある2,200のイスラム系組織、集会場やモスクの大半は、アメリカで合衆国憲法に取って代わり、シャリーア(イスラム法)の「ジハード・ネットワーク」であると指摘している。
これらの施設の不動産売買契約を調べると、75%以上は「ムスラム同胞団のネットワーク」とも呼ばれる。不動産の所有権は北アメリカ・イスラム信託、つまりアメリカにおけるイスラム同胞団の主要銀行が持っている。
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サウジアラビアが支援するワッハーブ派モスク
サウジアラビアは世界中で、イスラム原理主義思想を主体とするワッハーブ派モスクに資金提供をしていると批判したのがドイツのSigmar Gabriel副首相である。これらのモスクは過激派的思想を広める場所となっており、ドイツでは、これらのモスクがある地域から危険な思想をもつイスラム教徒が社会に出現していると指摘、モスクへの資金の提供を中止することを求めた。
ワッハーブ派は、サウジアラビアの国教であり、過激派組織イスラム国やアル・カーイダなどの中心的な思想である。サウジアラビアはこのワッハービ派思想を世界で広める目的で、世界中でモスクの建設の支援に関わってきた。ドイツだけでもワッハーブ派思想を持つイスラム教徒は7,900人にのぼるとされている。
国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルは、クウェート、オマーン、カタール、バーレーン、UAE、サウジアラビアなどの湾岸諸国はシリアや他の中東紛争地域からの移民を一切受け入れていないと指摘する。ドイツは今年50万人の移民を受け入れることになる。移民受け入れを拒否するサウジアラビアはドイツに200の新たなモスク建設を提案したが、ドイツから反対された。
イスラム過激派的思想の拡大を防ぐためであったが、ドイツに存在するワッハーブ派思想を持つイスラム教徒やイスラム過激派組織メンバーは、サウジアラビアからの資金や武器提供に頼っているのが現状であるため、資金の流れを止めない限り、テロ活動は止められないであろう。