バルチック海運指数が示すデフレ不況

20.11.2015

Photo: worldmaritimenews


 世界経済や商品価格の先行指標である、バルチック海運指数Baltic Dry Index : BDI)の下げ止まりが見えてこない。実に、統計が始まった1985年以来、最も低い水準にある。世界の貿易量が激減しており、世界同時不況に向かっていることを示している。


 

バルチック海運指数

 バルチック海運指数は外航不定期船(ばら積み船)の海運賃(輸送コスト)の国際海上運賃市況を表すものである。指数の変動は気象状況、地政学的要因(ホルムス海峡の封鎖)などの要因で短期的な影響を受けるが、海上の荷動き量の上昇や低下の傾向は世界経済の状況を反映している。例えば、過去最高の11793を記録したのが、中国の鉄鉱石輸入や原料輸送需要が高かった2008年(リーマンショック前)で、リーマンショック後には663まで低下した。


 

 そのバルチック海運指数は19日に歴史的に最も低い504にまで下がった。これは、リーマンショック後よりも低い数字である。一年前と比べても、60%以上低下しており、その傾向の下げ止まりとなる要因はなく、上向くことはないと思われる。悪化する一方で、世界的なデフレ不況危機に向かっていることを示す。

 

Source: Bloomberg

 

 2008年以来の下落と共に、商品価格の下落が起きた2008年と同じように、今も商品価格の下落が起きている。商品価格の動向は物価や景気の動向を反映することから、注目される。原油価格は40.40ドルにまで下がり、国際商品市況の動きを見るための先行指標として使われるトムソン・ロイターコアコモディティーCRB指数は1年前と比べ、30%以上下がっており、2008年以来最も下げ幅が大きい。


 バルチック海運指数とCRB指数を見て明らかに言えることは、世界経済はデフレ不況に向かっていることである。