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日本に爆買に来た中国人は富裕層が多い。13億人のなかで残された10億人にとって国外で買い物することなど考えられない生活を送っている。一人当たりの所得やGDPはまだまだ後進国の水準の中国で、11月11日は特別の意味があある。
休日とはならないが11.11は「独身の日」として全国規模のバーゲンが日付が変わると同時に始まる。インターネットショッピングはこの日まで欲しいもので一杯になったカートの「次に進む」ボタンを日付が変わると同時に、クリックするのだ。
中国アリババは最初の1時間の売り上げだけで20億ドルに達したが、半分は日付が変わってから10分間で精算されたという。今年の光棍節(シングルズデー)(注1)が特別なのは11.11.11ときれいに1が並ぶからだ。アリババの記録的な11.11の売り上げ31億ドルを塗り替えることは必至。
中国人の友人は前の週からそわそわしていた。彼によるとカートにたくさんの欲しいもの、特にクリスマス用品(注2)を放り込んで、日付が変わるとクレジットカードを使いまくる、のだという。
(注1)光棍節は独身者(光棍は男性の独身者をさす)もための記念日。起源は不明だが学生たちが90年代から祝うようになり、アリババがこの日にセールを始めたことで、急速に広まった。11.11は光棍の元の意味である棒が並んでいることによるという。
(注2)中国のクリスマスは毎年、盛大になる一方で家族にプレゼントすることはあたりまえになっている。きいても誰もクリスマスの意味を知らないのだが国内消費を(欧米並みに)支えている。
独身を祝うのはふたつの意味があるそうだ。ひとつは独身=自由の身を祝うこと。そしてもうひとつは独身に別れを告げる祝いの意味。後者は米国学生の結婚前の”Single’s Party”を想起させるが、そこまで騒がないにしても若者が独身に対する思いは複雑なことは万国共通のようだ。
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たくみに11.11を利用したのはiPad Proをオンライン販売でこの日にぶつけてきたapple。13インチ版のiPadは登場が予想されていたが賛否両論であった。PCの販売低迷でタブレット画面の大型化を目指したappleのiPad Pro販売が「独身の日」でどれだけ促進されるのか興味津々の人は多い。
IPad Air2の画面より78%大きな液晶(Retina)で解像度は2732x2048となる。こうなるとキーボードをとりつけてPCとして使いたいところだがiOSなのでSurfaceのようにはいかないのが難点。しかし圧倒的に美しいRetinaデイスプレイが10時間使えることで、使える範囲でMacbook Airを置き換えて仕事に使いたくなるのは必至だ。実際、キーボードとスタイラスが用意されている。
冷え込みつつある中国国内の消費を押し上げることを願う人達はいますぐネットショッピングサイトに駆け込めば日付が変わるにはまだ時間がある。