Photo: Pagedale Missouri
米国ミズーリ州、セントルイス市のページデールの市民はセントルイス市に対し集団訴訟を起こした。発端は市当局の過度な違反金や罰金の徴収に対してである。市の条例によれば、「腰パンを履いていること」、「庭の手入れをしないこと」、「玄関先の庭でバーベキューをしていること」などが違反金や罰金の対象となっている。
ことの始まりは、地元紙の米国セントルイス・ポスト・ディスパッチが住民3,300人の町に、昨年2,255件の交通刑以外の違反金や罰金が課せられていたと報じたことである。実に1世帯2件の違反刑や罰金刑である。ミズーリ州の裁判所のデータによると、5年前と比べて、刑罰が500%も増加したことになる。違反金や罰金が支払えないために借金を繰り返す状況に追い込まれた住民や、違反や罰金が課せられている住宅の修繕費の支払いができないため、強制的に身柄の拘束や住宅の差し押さえ勧告を受けている住民が集団訴訟を起こしたのである。
違反金や罰金が科せられる市の条例には、
「窓に網戸がない」、
「窓にカーテンがない」、
「屋根板が揃っていない」、
「除草剤を使わない」、
「資源のリーサイクルを行わない」、
「木の枝が落ちている」、
「庭の草を定期的に剪定しない」、
「木の枝の伐採をしない」、
「玄関先の庭にグリルセットや子供のおもちゃを置いてある」、
「腰パンを履いている」、
「バーベキューの近くでビールを飲んではいけない」、
「歩道以外を歩くことの禁止」、
「歩道の左を歩く」、
「ヘルメットなしで自転車を乗る」、
「数人でぶらぶら歩く」、
「ゴミの放置」
など誰でもどれかはやりそうなことが含まれている。
Photo: St. Louis American
写真はPagedaleの住民が起こした市民デモ。市の圧政は相当なものらしいが実は市の財政に問題があった。
このような違反金や罰金は全体の40%を締め、市の収入源となっている。市の条例が厳しくなったのは、交通違反による罰金収入が減少してからである。2014年までに、全米で財政破綻をした市町村は51にまで登った。財政状況が厳しくなれば、市民にその穴埋めを求めるのはどの国も同じであるように思われる。
なお市の禁止条項は日本でも年寄りが若者に文句をつけそうなものであり、田舎であれば個別にそういうことで文句をつけられてもおかしくはない。しかしその都度、お金を要求されたら誰でも我慢がならないだろう。