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将来成功するには、大学を卒業することが必要条件とする考え方は世界共通である。けれども、アメリカでは大学卒業者の70%は学生ローンを抱えており、多くはその返済に困っている。実に、次のバブル崩壊は学生ローンか住宅ローンまたは自動車ローンかとも言われている程である。
学生ローン
アメリカの大学卒業生の70%が平均35,000ドル(420万円)の学生ローンを抱えている。平均的な返済期間は15年で、23~24歳で卒業した学生は38~39歳まで返済を続けことになる。20年前と比べて、2015年卒業者の学生ローンは10倍の700億ドルまで膨れ上がっている。
アメリカで、学生ローンを抱えている人数は4,100万人で、総額1兆3000億ドルである。2025年までには、2.5倍以上の3兆3000億ドルにまで拡大すると予測されている。深刻な問題は、4人に1人が返済が遅れているかデフォルトしていることである。授業料の増加、奨学金の減少、国からの大学補助金の縮小、両親の経済状態の悪化などが理由としてあげられる。
両親との同居
1999年には25歳の人口の25%が両親と同居していたのに対し、2012~2013年にはその人数は半数にまで増加、今後も増加傾向にある。大学入学を機に、両親から独立するアメリカ人の一般的イメージとは正反対である。
同居の主な理由は、21~27歳の失業率が労働市場では最も高く、2010年に40%であった状況がさほど改善されていないことにある。正社員で高額な職は少なく、多くは低賃金のパートタイム職についている。住宅価格も2012年から21%も上昇しており、そのなかでも賃貸物件の家賃は最も高くなっている。加えて、学生ローンの返済が負担となり、両親との同居が必然的となったのである。
学生だけに限らず、大学教員も深刻な状況に置かれている。教員の51%はパートタイムのポジションで教えており、31%の教員年収が貧困レベル以下(最低年収が12,000ドル、約144万円)であるので教員の多くは副業を持っているかパートナーに支えられていると考えられる。