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ロイズ保険のシンクタンンクの報告書によれば2050年までに人類は倍増する人口に食糧供給ができなくなり、結果として経済恐慌や政治不安を引き起こすリスクがあるという。
2050年とは一体どのような社会になるのだろうか。世界人口は90億人で世界中には20億台の車が溢れる。一方で食糧生産は計画生産が最も困難である。また人口が倍増することに対応してエネルギー需要もほぼ倍増する。
しかし地球上の食糧・水資源と石油・天然ガスなどの化石資源も有限で、倍に増産するのは不可能である。さらに90億人が地球環境を悪化させるので、人類が過去の生活様式を求めても無理があることは容易に想像がつく。
大量の自動車が道路に溢れれば渋滞が激しくなり燃費を余計に消費する。そのため原油消費が加速し燃料価格が高騰する。再生可能エネルギーとしてバイオマスエネルギー政策によって燃料を生産する動きが北米・南米で加速している。特にブラジルは広大なサトウキビ畑でシロップの代わりに、炭化水素(燃料)の製造に力をいれている。
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バイオマスエネルギーは作物を育てて毎年、生産できるため(実際には干ばつや土壌の変化など課題は残るが)持続性に優れているとされる。しかし樹木の伐採による環境問題、サトウキビなどの農作物の利用は食糧供給の倍増要請に逆行することとなる。誰でも食糧危機で大豆と燃料のどちらを選ぶかといえば答えは決まっている。
人間の排泄物から燃料を生産する研究も進められているが、人口増加に対応するのはもしかしたらこうした方法もバイオマス資源に含める必要があるのだろう。
自然界はしかし光合成によって太陽エネルギーにより水と最大の温室効果ガスであるCO2から酸素とショ糖を合成している。これを利用できればエネルギー源を太陽に依存して、酸素と炭化水素を合成する人口光合成が最も効率的だ。そのため各国の研究機関では光触媒と呼ばれる半導体、酸化物を用いて太陽光を用いて電子反応により酸素とメタンなど炭化水素や蟻酸を合成する試みが行われている。
ただし光合成のエネルギー効率6%に対して、現在の効率はまだ1-2%にとどまる。さらにFCVと呼ばれる燃料電池車では水素と酸素が燃料で、家庭でも普及が進んでいるエネファームは天然ガスから水素を取り出して燃料電池で電気をつくる。燃料電池の普及には水素の供給が不可欠なため、水素製造の研究開発も進められている。FCVの利点はEVの充電に数時間かかるところが3分で済むという実用性にあるが、水素を電気分解でつくると一昼夜かかってしまうのでネックは水素供給能力になる。
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水素の発生にも太陽エネルギーと光触媒が使われるが、こちらも実用化には現在の最大で3%の効率を10%に上げる必要がある。一方、簡単な電気分解実験は誰でも学校で経験したはずだが、太陽電池で電力をつくりそのまま電気分解の電極に結線するという極めて簡単な原理での効率は、24.5%に達した。
このため短期的にはソーラー水素を太陽光と電気分解で製造する方式で小型水素ステーションをつくり全国に配置することで、水素ステーションネットワークをつくればFCVでガス欠になる恐れがなくなる。それでも一昼夜かかって製造できる量は満タンで3台分ほどなので、1台2億円といわれる大型水素ステーションも配備しなくてはならない。
発展途上国ではエネルギーの需要の増加に対応するには原子力しかない、と考えて原子炉の建設に躍起になっている。しかし多くの場合、核廃棄物の処理対策が不十分であり、過度な国際受注競争のために安全性が犠牲になるリスクも高まっている。
結局、食糧供給を計画的に増産することの困難さは既存の農業生産では困難であり、ヴァーテイカルファームなど新しい農業スタイルを持ち込まなければならないだろう。またエネルギー供給についても太陽光の活用(光合成、光触媒)を積極的にとりいれることは必至のようだ。