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乗客数が200名クラスのカテゴリーでエアバスとボーイングに対抗するのは不可能に近いとされている。生産の遅れが目立ち国内で500機以上の受注を受けたCOMACのC919がこのほどようやくロールアウトした。とても順風満帆といえないスケジュールの遅れだができあがった機体はモデルと同じ塗装であらわれた。
習近平がシアトル訪問で駆けつけたボーイング幹部と笑顔で300機購入の商談を成し遂げたことは記憶に新しい。C919はエアバスA320やボーイング社737という強力なライバルがいるカテゴリーにい無謀とも思われる挑戦であった。たびたび動画も流出したが閑散とした上海の新工場で組み立て中の機体はたった一機。
飛行試験には複数の機体が必要だがネックとなるエンジンを外国産としてようやく日の目をみたというわけだ。C919は座席数最大190で長距離型の航続距離は5,555kmである。国産とはいえエンジンとアビオニクスが外国産となっている以上、新幹線同様に純国産技術で開発された初めての中型旅客機というには少し抵抗がある。
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上の写真のようにビジネス席は中国高速鉄道の一等車とほぼ同じスペース。新幹線のグリーン車より印象としてはゆったり感がある。バゲッジを置いても窮屈になるだけで足の置き場に困ることはない。C919でも同等の環境を考慮したと思われる。ロールアウト機の初飛行は2016年になるので各種飛行期間を考えると予定されている2016年の就航は無理だが、それまでボーイング767が国内エアラインの需要を満たしてくれるだろう。主翼をみると直線でできておりボーイング787のような複雑な形状になっていないことは製造が容易なことすなわち生産性を考慮したものと思われる。
貨物型やビジネス用の派生機も計画されている。基本となる168座席型からこれらの派生型を開発することになる。上海の新工場がフル稼動することになれば雇用の面でも影がさしている中国経済の活性化に役立つだろう。しかし国際競争力は機体できないしFAAの認可を受けないので国際線を飛ぶこともできない。当面は国内エアラインの発注文を処理することになるが、中国内の地方都市の空港キャパシテイは大きく国内だけでも需要が大きいのでボーイング社も最終組み立て工場を立地することで優位に立とうとしている。国内需要の取り合いが予想されるが新幹線同様に国内メーカーが圧倒的優位にある。