中国と日本は米国にとって、最大の対米債権国である。2008年のリーマンショック以降、中国は世界最大の米国債の保有国であった。だが、ここに来て、対米債権国の間で変化が見られるようになった。
米国債を購入し続ける日本
米財務省の統計では、中国の米国債の購入が減少しているのと対照的に、日本は積極的に購入を増やしている。数年前から、日本は中国に代わって世界最大の対米債権国になると言われてきたが、2015年中にそうなる可能性がでてきた。
米財務省の2014年11月の国際資本統計(対米証券投資動向)によると、日本が保有する米国債が過去最高の1兆2415億ドルとなった。現在の為替レート117円で計算すると、約145兆円となる。前年度と比べると、4.6%増加したのに対して、中国は2013年から5%減少、保有額は1兆2504億ドルとなった。
簡単にいえば、日本政府は米国政府に1兆2415億ドルのお金を貸していることになる。さらに、ドルで貸していることから、為替変動リスクは日本政府が負担しているため、ドルが大幅に下落すれば、するほど日本政府の損失が大きくなる。
中国の新しい動き
中国は一時2009年には、2 兆1040億ドルの米国債を保有していたのだが、それ以来次第に保有高を減らしている。米国債を手放そうとしている傾向が明らかである。米国の長期国際の購入は止め、保有している米国債は国際貿易などの決済に使われているため、保有額は減少している。
その背景には、ドル依存から脱却する動き、つまり非ドル化が加速していることがみて取れる。言い換えれば、米国債を保有する必要性がなくなりつつあることになる。特に、世界最大の製造国である中国、資源大国ロシア、経済発展が期待されるBRICS諸国の間、そうして国際貿易上でも非ドル化は進んでいる。
次回の統計発表では、日本が世界最大の対米債権国となっているかもしれない。連邦債務が18兆ドルに膨れ上がった米国は、最早債務返済が不可能となったにも関わらず、債務は増加し続けている。
貸したお金は返ってこない現実。
貸す側も、借金を増やしてまで、貸し続ける現実。
日本はいつまで、米国債の購入を続けるのか。限界が近づいていることに早く気付いて欲しい。