2001年の9・11テロ以降の13年間、「テロとの戦い」はアメリカの歴史上最も長い戦争である。そうして終わりが見えない戦いでもある。
アフガン戦争とイラク戦争を合わせて、アメリカの「テロとの戦い」の戦争費用は最新の新着米国議会調査局 (CRS) レポートによると、2014年には1兆6090億ドルであった。昨年12月に、議会を通過した「テロとの戦い」の2015予算の737億ドルを合わせると1兆6827億ドルになる。
過去のアメリカの戦争と比較しても、イラク戦争はベトナム戦争の戦争費用を超えており、これまでの「テロとの戦い」でかかった経費は、ベトナム戦争、朝鮮戦争、第一次世界大戦を合わせた額も超える。
1.6兆ドルの内訳は、イラク戦争とアフガン戦争がそれぞれ51%と43%を占めている。皮肉にも、このCRSレポートが発表されたのが、ISISとの戦いを強化するため、オバマ大統領が議会に追加予算を要求した日であった。
しかし、ボストン大学のネタ・クローフッド教授は実際の戦争費用は1兆6090億ドルを大幅に上回ると指摘する。2014年6月に発表した論文、”U.S. Costs of Wars Through 2014: $4.4 Trillion and Counting” 「2014年までの米国の戦争経費」中では、CRSレポートには戦争費用、つまり借入金に対する利息や傷痍軍人の生涯にわたる医療コストが含まれていないと指摘する。
クローフッド教授は2つの項目を含むと、これまでの「テロとの戦い」の戦争コストは4兆3750億ドルと算出した。これは、4.1兆ドルの第2次世界大戦を超える額である。
13年間続いている「テロとの戦い」は、アメリカ国民の税金と米国債を購入する国々で負担されている。だが、この13年間でテロの脅威はなくなるどころか、増えている。イラクでは、イスラム国の勢力は拡大しており、アフガニスタンやパキスタンでは、タリバン勢力が急速に復活。アメリカの軍事介入により、中東における紛争は拡大、テロ攻撃も中東地域に留まらず、世界中で起きる可能性さえでてきた。
世界を巻き込む戦争が起きる前に、9・11の真実を追求し、「テロとの戦い」の大義を考え直すための残された時間はほとんどない。