米国ではしか感染が流行

Jan. 31, 2015

 

 今年のスーパーボウルはアリゾナ州グレンデールでニューイングランドペイトリオッツとシアトルシーホークスが対戦してアメリカンフットボールの覇者が決まる。スーパーボールのホスト州となるアリゾナ州衛生局は意外な警告を発した。アリゾナではしか(注)のアウトブレイクが起こっていてすでに1,000人がはしかの感染疑いがあるという。


 7人のはしか感染者と接触があったのは1,000人以上にのぼる。そのうち、一人はディズニーランドを訪れ、はしかに感染した家族と接触があった女性がフェニックスの小児病院を訪れ200人の子供に感染した疑いがある。はしかによる合併症は、重症の場合、失明、聴覚被害、肺炎、深刻となると死にいたる。

 


感染はデイズニーランド

 今回のはしかの流行は、米カリフォルニア州のディズニーランドを去年の12月に訪れた感染者観光客がはしかの集団発生のきっかけであった。ディズニーランド訪問者や従業員が感染、隣接のディズニー・カルフォルニア・アドベンチャーパークの観光客の感染者を含めて67人、そこから感染が拡大し、いまでは14州に渡り合計92人がはしかに感染している。このため今後、流行が急速に拡大する恐れがある。


 はしかは米国では、2000年に消滅されたとされる。だが、実際には2014年にには644人がはしかに感染した。はしかは感染力が強く、感染者と接触があれば、感染の確率は90%とされる。感染者は21日間の隔離が必要であるので、全米各地からファンの集まるスーパーボウルで感染者がでると、全米各地に一挙に感染が広がると懸念されている。


 

危険なスーパーボウルに

 アメリカンフットボールの試合でファン同士はタッチダウンで立ち上がってハイタッチで喜びを分かち合う。今回のスーパーボウルではこれは危険な瞬間のようだ。スーパーボウルが感染症を広げるきっかけになるかも知れない。


(注)はしかというと子供のかかる病気と思われがちだが、統計をみると近年は大人がかかるケースが増えている。乳幼児期の予防接種の効果は大人になるにつれ薄れるため、アメリカではワクチンは2回摂取が義務となっている。はしかの症状は発熱と体に現れる赤い発疹である。まず、咳・鼻水・目の充血などを伴う38-39度の発熱が3-5日続いた後いったん熱が下がり、再度高熱を発して首などに発疹が現れ、やがて発疹が全身に広がっていく。決してあなどれない大人の病気なのだ。


CDC Measles