帝国の横暴-提訴されたapple

Feb. 2, 2015


 iphoneとMacbook Airユーザーは最新機種で電源コネクタの形状が変化したことはすでに気付いている事と思う。iphoneではそれまで幅広でスピーカー型にさして本体を支える安定感のあるコネクタからLightning Connectorと呼ばれるよりコンパクトになった際に、既存のスピーカーへの接続ができなくなって困ったはずだ。その代償としてコネクタを上下区別する煩わしさからは解放されたのも確かだ。



Lightningコネクタ

  Lightningコネクタは安定させるためピンの奥行きは余裕を持たせているので、不安定そうにみえながら実際には自然にはずれない。それにスピーカーにしたってBluetooth機器が増えたので、ピンで支える機種が減ったことも事実である。旧iphoneはipod代わりに2世代分使用しているが、Lightningコネクタに慣れてしまうと、不細工にみえるから不思議だ。おかげで家には旧コネクタUSBケーブルがだぶついて粗大ゴミ化した。結論をいえばLightningコエクタは便利だ。しかしappleの強欲さはあきれるほどである。旧コネクタとLightningコネクタ変換アクセサリが異常に高い。本来なら無料で1個付けて欲しいくらいなのに。



MagSafeコネクタ

 次にMacBook Airの話題に移る。初代MacBook Airは確かに薄かったがAirという製品名が悲しくなる重量であった。現在、安価になって売れているMacBook Airは重量を軽くしたことと、バッテリーが12時間駆動となったことで圧倒的に使い易くなった。Windows派モバイルユーザーもこのためOSの壁を乗り越えて、MacBook Airを持ち歩くことになった。会議や学会のプレゼンシーンでも気がつけばかつてはマイナーな存在であったはずの、Mac派が多数を占めつつある。


 このMacBook Airを支えているのがMagSafeというちょっとみるとLightningコネクタくらい小さい電源コネクタである。上下を区別しないのはLightningコネクタゆずりであるが、おもしろいのは近づけるとマグネットでカチっと固定されるので、差し込むという感覚がないことだ。もちろんコネクタの生命線は接触なので、実はピンにはバネが組み込まれていて、マグネットで固定されると同時に電気接触を完全なものとするために、ピンが電極ピンを押し付ける。アイデアとしては単純だがこれがなければ接触不良が多発することは目に見えている。マグネットの磁場が時間とともに劣化するからだ。



日本発の訴訟でみえた帝国の実像

 さてこのピンにはコンタクトを高めるバネの構造に特許がある。初期にこのピンコネクタをappleに供給したメーカーは島野。決して大きい会社ではないが精巧なコネクタを供給できる限られたメーカーでしかも特許の所有者でもある。しかし島野は、appleを相手取り、「特許権侵害の対象であるアップル製品の電源アダプタと、それが同梱されているノートパソコン、MacBook ProとMacBook Airの日本での販売差し止め」を請求した。


 appleといえば自社の独創的な特許の侵害でSamsungを提訴して大々的な法廷闘争を繰り広げて来た。ここでは特許を盗んだとされるSamsung側の逆提訴など醜い抗争となったことは記憶に新しい。提訴はその後取り下げられて一段落した感があるが、今度は日本の部品納品に際して特許権の侵害を訴えられた。島野はapple資材購入部とのメールのやり取りを公表している。それによると部品の一方的な購入希望で島野側ともめている隙に他社へ(特許を無視して)発注するなど、下請け企業とみなす暴挙が明るみにでた。


高利益率の陰に

 appleの利益率の異常なまでの高さには製品を中国のフォックスコンに過酷な労働条件でつくらせ、利益を得ていることが問題になっている。労働条件の悪さでフォックスコン従業員の自殺が相次いだことも話題となった。帝国appleのしたたかな実像がみえたのである。appleはOS、Cloud環境、メールアカウントの無償提供等でユーザー本位の優良企業のイメージが強く、弱体化したとはいえアメリカITビジネスの一角を担う企業だが、実際には下請け企業を粗末に扱うブラック会社だったということになりそうだ。


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