独立国家を目指す海上都市

Jan. 15, 2015

 

Sabah Al Ahmad Sea City

 ドバイにある人工の島とも言える海上都市がSabah Al Ahmad Sea Cityである。海上都市計画自身は古くから有る。夢の島を始め浅瀬の埋め立ては古くから行われているが、ドバイのそれは富裕層のための人工島となる。写真のように椰子の木をデザインした人口島で、豪華ホテル、別荘があり、およそ25万人が暮らせる施設となる予定だ。上空から見れば"THE PALM"の名前の通り椰子のイメージそのものである。

 

 

Water Discus Hotel

 ドバイにはまるで海中都市のような21階建てのWater Discus Hotelが計画されている。21階建の半分を錨で海中に沈めて固定、もう半分を海面から突き出た建物となり、近代的なホテルにはヘリポートや通信回線を備えた自立型共同体を目指している。推進はDeep Oceam Technology社(http://www.deep-ocean-technology.com/)で同社はWater Discus HotelをUnderwater Hotelと呼んでいる。興味深いのは海上あるいは海中に都市建設が加速すれば、環境汚染や人口急増に有効な解決手段となり得ることだ。

 

 

GREEN FLOAT

 海上都市計画は国内外でさかんに研究開発が進められており、清水建設のGREEN FLOAT計画が話題になっている。キリバス共和国は赤道付近の太平洋上にある珊瑚礁を領土としているが、海面上昇(注)の危機により、埋没を防ぐためにGREEN FLOATに未来を託した。キリバス共和国に清水建設はGREEN FLOAT計画を提案している。

 

 メガフロートは直方体形状の浮体ブロックを量産し、つなぎ合わせて大型化したのち、係留した人工島である。低濃度汚染水1万トンを貯蔵できるメガフロートが福島第一原発まで曳航され、洋上の汚水貯蔵タンクとして設置された。代替え米軍飛行場として実用化できる段階にあるため、国内にある米軍基地を洋上のメガフロートに置き換える計画も提案されている。

 

 これまでドバイの不動産バブルは目を見張るものであったが、高層建築を競い合ったり富裕層向けの人口島だけなら資金力にものをいわせただけである。海上、海中都市の検証をが望まれる。それができたら誰でも中東の富裕層に畏敬の念を払うだろう。

 

 規模や方式の差はあれ、海上都市の多くは一国の領土であった。しかし最近では国家財政の破綻に備えて、国から独立した海上国家として注目されている。火星移住計画よりは格段に現実的である。

 

 

Freedom ship

 米国フロリダ州のFreedom ship計画は空母とクルーザーの中間の動く海上都市である。長さ1400mで5万人が生活できる25階建ての巨大な民間空母は、住民40名に対し1機の小型飛行機を離着艦させる甲板を持つという。その他「住民」5万人が快適に生活できる設備、学校、病院、モールや娯楽設備を備え、世界各国の都市を訪れる世界一周しながら、通常の生活を楽しむという。

 

 荒唐無稽な話だが1%富裕層は底辺層と差別化した安全な生活を求めている。一定の条件を満足した人々しかいない世界を満喫した時に、どのような幸福を味わうのか疑問であるが。

 

 

Seasteading community

 シリコンバレーの富裕層は多様な社会システム、政治体制、法制度を持つ実験的な海上コミュニティーの構築を目的として、Seasteading Instituteを設立した。資金はペイパル創立者のひとりPeter Thielだが、単なる税金逃れなのか、国家破綻を予期してのことかはたまた、人口急増のための移住計画なのか意図は不明だ。