シャープLED液晶パネルー国産の意味

July 24, 2014


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

亀山工場売却のインパクト

 亀山工場の一部売却やSONYとの液晶パネル合弁事業等、陰りのみえてきた国産液晶パネル事業で活発な動きをみせているシャープはバックライトにLEDを組み込んだ高輝度液晶パネルの国内生産に踏み切った。液晶パネルの国際競争が激化していると同時に、3D等高機能の高価格モデルでの技術的優位性に望みをかけた賭けといえる。何故いまさら、国産なのか、について考察してみる。

 理由は要求される輝度と環境性能に対応した液晶TVの省エネ路線にありそうだ。液晶TVは国内外メーカーが乱立して戦国状態であるが、技術的には電子管のような熟成フェーズにはない。一層の高画質と省エネ性能が求められており、バックライトは現行主流であるCCFL(冷陰極管)からLEDへ置き換えが急速に進む と予測されている。

 

 

液晶パネルとLED

 LEDは輝度が高く省エネ性能に優れているがサムソンが液晶に組み込んで安価なモデルを中国と米国を中心とする海外市場に送り込んで成功している。後追いでコストの高い国内生産をするのはリスクが高い。何故、国産なのだろう。

 シャープはこの決断の前に大型液晶パネルのLEDバックライト向けに、LED120個の駆動が可能なLEDドライバICを開発した。これは回路技術と製造技術の最適化によりトランジスタをコンパクトにし、最大10チャンネル(従来8チャンネル)までの制御を可能としたもので、バックライトに使用するLEDドライバICの数を約2割削減できる。

 

 

LEDドライバIC

 詳しくみるとLEDドライバICは高機能LED液晶に重要な役割を持っている。 LEDバックライトの採用でSONYとシャープ両社の強みは、白色LEDでなくカラー多素子LEDの部分駆動技術である。簡単に言えば液晶の画面の明るさと色に対応してLEDの発光をリアルタイムで場所ごとに制御しようというものである。

 

 より忠実な色再現が可能となる他、映像にあわせて部分的にバックライトを制御する部分駆動技術により、画面の明部ではバックライト を明るく点灯、暗部では完全に消灯するため、コントラスト感を大幅に改善した。両社ともダイナミックコントラスト比は100万:1以上を達成している。部分駆動の制御には駆動ICチップの開発が要であるが国産メーカーは開発に成功し、メーカー間の協力体制に入った。

 

 

国産化の意味
 競争力の高い先端技術製品に対しては雇用の安い海外生産に頼るのは技術流出の観点から得策ではない。シャープはSONYと協力して高度な技術を保護して国産に踏み切った。「国内メーカーが協力して新興メーカーに立ち向かう」という図式ができた。

 

 これこそ技術を守り高機能製品を国産する、という本来の行き方のように思える。先進技術を国内メーカーが協力して守る新しいしくみがどのように報われるか、期待したい。