オバマ大統領は10日夜、対ISIS(イスラム国)の包括的戦略として、イラクとシリアにおける特定のターゲット空爆とイラクとシリアの反政府勢力への武器支援、資金支援、軍事支援の拡大を主とする軍事作戦を表明した。
シリアには、反政府勢力のFree Syrian Army、FSAやSyrian Revolutionary
Front、SRFなどのような「支持できる」または「脅威ではない」という勢力はない。基本的には過激派「ジハード」に関与する勢力である。そのことは、反政府勢力FSAのBassel Idriss司令官は認めており、ISIS
とアルカイダとは同盟組織であることを明らかにしている。SRFのJamal
Maarouf司令官もアルカイダと共に行動していることを述べている。
シリアのアサド政権交代を実現するために、アメリカ、英国、フランスはFSAやSRFなどの反シリア政府勢力に軍事指導、武器支援と資金支援(サウジアラビア、カタールを含め)を行ってきた。その武器の一部はISISやアルカイダにも横流しされた。
つまり、FSAやSRFに武器支援を拡大することは、ISISに武器支援することと同じである。ISISを打倒するための作戦は、ISISに武器支援することであり、火事現場にガソリンを撒くようなものである。
去年9月に見送ったシリア空爆から一年後、ISISによるアメリカ人ジャーナリスト2人の処刑、数々の残虐テロ行為、中東での急激な拡大の脅威で、アメリカの世論は大きく変わった。今では、イラクとシリア空爆を支持する人は60%以上である。
一年前とは、地政学的環境は大きく変化しており、世界の大国を巻き込んだ戦争に発展していく危険性さえある。2週間後に、オバマ大統領は国連で対テロ対策を大義に同盟諸国に参加を求める予定であるが、果たしてどれだけの国がアメリカに共鳴するかが注目される。