不況に陥っている米国経済

28.02.2016

 

Photo: USDA

 

 米クリーブランド連銀のメスター総裁に続き、フィッシャーFRB副議長も米経済が堅調であり、情勢悪化の証拠がない限り、年内利上げを続けることは可能との見方を示した。しかし、政府発表の主要経済指標に反する証拠、経済が悪化しており、米経済は既に不況に入っていることを示す数々の統計がある。

 

 

* 給与所得税を支払っていない人口の割合は2015年には全体の45.3%で、約7,750万に当たる。その内訳は50%給与が低くいため支払う必要がないか、後の半数は給与が全くないかである。

 

 

2015年にフードスタンプ(低所得者に向けた食料補助制度)の受給対象者は4,550万人であった。2008年の2,650万人から41.7%の増加である。失業率が低下するなか、フードスタンプ受給者が増加している。

 

 

* 失業率4.9%の裏には、雇用者数の伸びが公務員職の伸びが16.9%83.1%は民間職の伸びで、80%弱が低賃金/最低時給のサービス業のパートタイム職であった。安定した高賃金の製造業職は年々減少している。労働者参加率も1977年以来の38年ぶりの低い62.4%である。

 

 

* 全米経済研究所によるとアラスカ州、ノースダコタ州、ウェストバージニア州とワイオミング州の4つの州は既に不況に入っている。更に、ルイジアナ州、ニューメキシコ州とオクラホマ州は景気が交代する方向に向かっている。

 

 

2014年には、年間所得が3万ドル(約336万円)以下の賃金労働者人口は51%で、そのうちの40%2万ドル(約224万円)であった。中流階級の崩壊と貧困化の傾向が見える。

 

 

S&P 500の企業の87%2015年の第4四半期の企業収益が平均して3.6%減少した。2009年以来、3四半期連続の収益減少である。更に、FactSetによると、2016年の第1四半期の企業収益は6.9%の減少が予想されている。

 

 

ISM製造業景況指数は1月には48.24ヶ月連続の好不況分岐点である50を下回った。1月の工場受注は前月比で2.9%減少、14ヶ月連続の減少である。

 

 

* 米国経済を支えているサービス産業も減少傾向にある。1月のISM非製造業景況指数(対象は小売り、公益、建設、ヘルスケア、農業、飲食などを含む)は53.5と前月から2.3ポイント低下、2年ぶりの程水準となった。分岐点を割ると、製造業と共に減少傾向にあり、経済は確実に不況の状態にある。