Guido FawkesとVendetta

Feb. 13, 2015

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッカー集団アノニマスは各国の反体制運動でよくみかけるがあの仮面は元をただせばGuido Fawkesに由来する。アノニマスは過激派同様の白い目で見られるが、今回は「黒装束の邪悪な集団」に攻撃を仕掛ける声明で一躍、正義の味方となった。


 

Guido Fawakesの仮面

 Guido Fawakesとはどういう人物なのか。1605年の英国で議事堂を爆破しようとして逮捕された。ちなみに英語のヤツ"Guy"は彼の名前にちなむというがGuyは決して悪意のある人間というニュアンスはない。Guido Fawakesは城壁で囲まれた古都ヨークで生まれ、スペイン軍で勇敢な兵士として活躍した。


 当時の英国ではカトリック教徒が国王に弾圧を受け苦しんでいたため、議会に出席する国王を暗殺し議会を爆破する敬虔なカトリック教徒で軍人のGuido Fawakesがリクルートされた。Guido Fawakesは議事堂地下に火薬を仕掛けて実行を待ったが、内部告発により逮捕される。


 

V for Vendetta

 Guido Fawakesがモデルの映画「V for Vendetta」では成功するのだが不幸にして逮捕された彼は残虐な処刑でこの世を去った。英国では11月5日をGuido Fawakes Nightとして例の仮面の人形を燃やす行事となった。人形を持って子供達が近所の家々を廻って"A penny for the Guy!"と叫びながら、祭りの基金を得る習慣はHalloweenの"Tricks or Treat!"でお菓子をもらうのと似ているが、地域の結びつきを深める行事としては同じ効果があっただろう。


 Guido Fawakes仮面は映画によって世界的に有名になると反権力の象徴となりアノニマスやウイキリークスのアサンジや"Occupy Wall Street"の参加者に好まれて着用されるようになった。


 

1984年

 Guido Fawakes時代のカトリック教徒は弾圧に苦しんだがいつしかこの仮面は独裁国家に抵抗する市民のアイコンとなっていったのである。独裁者が支配する英国は全体主義国家で国民は監視におびえているが、映画では颯爽と現れた仮面をかぶる謎の男Vの活躍はまさに正義の鉄槌である。映画「V」と同じ設定、第三次世界大戦の後に出現した英国の全体主義国家による市民監視社会はジョージオーエルの小説「1984年」でも登場する。


 

 皮肉にも英国には監視カメラが溢れ、現時点では犯罪撲滅に一役買っているがアメリカのNSAによる盗聴が明るみにでると、監視社会は現実味を帯び市民生活を脅かす存在と紙一重の現代に疑問を投げかける人も多い。Guido Fawkesは人々の心にあって不合理な全体主義に対抗するだろう。Guido Fawkesの仮面は理性ある反権力闘争の象徴かも知れない。