報道自由度にみる自由でないアメリカ

Feb. 17, 2015

 

 国境を越えた報道関係者の投票で毎年決まる世界の報道自由度指標(World Press Freedom Index)によると自由な国アメリカはもはや自由ではないという結果になった。2014年にアメリカはルーマニアを下回りハイチをわずかに越えてプレス自由度46位という不名誉に輝いた。


 このことは経済悪化に伴い国が一握りの人たちが支配することになり、権力を持つ人々が反対意見を持つ「抵抗勢力」の言論を圧迫していることに他ならない。2013年度の投票ではアメリカは13位後退し46位となった。2014年度はさらに3位後退し49位となった。

 


 AP電によればオバマ政権の情報活動に対する圧力の中で、例えばミズーリ州ファーガソンで起きた警官による黒人射殺事件の反対デモについての報道規制にみられるように、49位の現実は当然のものとしている。権力による情報統制はしかしながらアメリカに限らない。プレス報道の自由を抑制するグローバルな傾向がみられる。これは世界の富の大部分が限られた富裕層に占められていて彼らは自分たちのプロパガンダ以外の情報を配信して欲しくないためと理解できる。

 


 近年世界中で多発した紛争、民衆のデモの弾圧、経済情勢の悪化が2014年の情報統制(自由の抑圧)の背景にあり、調査した180カ国の実に2/3が昨年度より自由度指標が低下したと報告している。


西欧諸国は報道自由度のトップにランクされるが、EUにあっては地政学的な差別化は計れない。北欧三国(フインランド、ノルウエイ、デンマーク)がトップを占めるのに対し、イタリアではマフイアが報道機関を圧迫したため順位を落とした。またアイスランドでは報道機関と政治家と癒着したことで報道自由度の低下を招いた。

 


 問題なのはアメリカでは報道自由度だけが低下したのではなく2000年以降、経済的自由が失われていることである。アメリカの経済悪化の原因のひとつに相次ぐ自由経済に逆行する「規制強化」がある。非関税障壁、国外投資規制、事業規制がその例だ。これに伴い司法の独立性、法廷の公平さ、寛容される範囲が圧迫される結果となった。


 アメリカは憲法の定める法的秩序にもとづいた社会を逸脱し、規制強化で市民を締め付ける警察国家へと変貌を遂げたのである。この国をもう自由の国(注)とは呼べないのである。


(注)Land of the free


And the star-spangled banner in triumph doth wave

O'er the land of the free and the home of the brave.


United States Of America Anthem Text Lyrics