エボラ出血熱の潜伏期間は最大で42日
エボラ出血熱の潜伏期間が2~21日といわれていたが、10月14日のエボラ状況を分析したWHOの最新の報告書では、潜伏期間は最大で42日としている。正確にいえば、感染者の95%は1から21日後にエボラ出血熱を発病しているが、3%は21から42日後に、2%は不明とされている。つまり、30人に1人が42日間と長い潜伏期間中に感染が確認されたことになる。驚くべき数字であり、今後感染拡大の封じ込み対策に大きく影響を与えるであろう。
これまでのエボラ出血熱に対する認識を覆す数字である。エボラ出血熱に感染していないかは、これまでの21日ではなく、42日経過しない限り、感染の可能性はないと確信できないのである。WHOは、エボラ出血熱の感染が国の中で消滅したかの判断をする時も、この42日間を基準にしている。42日間感染者が1人もでなければ、アウトブレークの封じ込めに成功したことになる。アフリカのセネガールとナイジェリアはそれぞれ、感染者がでない限り、10月17日と10月20日にエボラ出血熱が消滅したとWHOは正式に発表する予定である。
確定診断の必要性
さらに、最近のエボラ感染が疑われる患者に対しての報道に問題があるとしいる。病院での予備検査で陽性反応を示していないから、感染はないと判断するのは危険であるという。最も危険度が高いウイルスを扱えるバイオセーフティー・レベル4(BSL-4)の施設で確定診断がでるまでは、エボラ出血熱の感染は否定できないと指摘している。
日本には、エボラ出血熱の患者を扱える特定感染指定医療機関は現在、全国で45施設あるが, 92床に限られる。BSL-4の基準を満たす施設があるのは、国立感染症研究所と理化学研究所の2カ所である。だが、問題は、ウイルスの取り出しや、培養することは許可されていないため、エボラ出血熱と確定診断はできないのである。患者の検体はWHOかBSL-4の施設がある国に送り、確定診断がでるのをまつしかないことになる。
世界でも最高水準の感染症医療設備を誇るアメリカで、医療従事者の2次感染と3次感染の疑いがでている。今、日本の医療体制の対応は十分であるかを真剣に見直し、早急に対応策を強化することが重要ではないか。