ニューヨークで、エボラ感染者と確認されたクレーグ・スペンサー医師と21日間の自宅隔離を求められたことに対し、科学的根拠に欠ける不合理的な措置だけでなく、人権の侵害と訴えたケイシー・ヒコックス看護師には共通点がある。
エボラ出血熱の危険性を現地西アフリカで体験、最もエボラ感染に関しての知識をもっているはずの医療従事者2名はアメリカに帰国後、嘘をついていたことがわかった。スペンサー医師の場合は、州保険衛生局とニューヨーク警察に自宅隔離を実施しており、外出はしていないと述べていた。
だが、事情聴取した刑事が調査した結果、クレジットカードとメトロカード(地下鉄使用する際の専用カード)が使用されたことが判明。最初は否定していたが、その後外出を認め、地下鉄とタクシーの使用、友人とボウリング場2カ所とレストランに行ったことを認めたのである。ボウリング場で汗をかいた翌日、39.4度の熱を出し、入院、エボラ感染が確認された。エボラ出血熱は患者の体液(汗)から感染することは、医療従事者なら当然認知し警戒しなくてはならない。
ヒコックス看護師の場合は、24日に帰国、その後強制隔離措置がとられた。エボラ感染者と直接接触はないと述べ、隔離措置は人権の侵害と訴えた。検査結果が陰性であったため、自宅のあるメーン州に戻る。州保険衛生局から21日間の自宅隔離を求められたが、メーン州を相手に外出禁止命令の解除を求め提訴、地元裁判所は「他人に感染させる危険性はない」とし、自宅隔離の必要がないとの判決をだした。
しかし、
CDCは31日にシエラレオネで同居していた女性がエボラ感染者で治療を受けていたことを発表した。CDCは11月10日までの隔離期間を実施するように求めた。この事実に対して、ヒコックスは感染の可能性を否定、21日間の隔離対策が問題であり、症状がなければ、隔離の必要はないと、医療従事者とは思えない発言をしたのである。
WHOとCDCのガードラインに沿って、世界各国は西アフリカからの渡航者に対しての厳しい検疫検査やビザの発行停止、入国の規制を実施しているさなかに、エボラ感染者と接触があった医療従事者が、「他人に感染させる危険性はない」と自己判断するのは危険ではないか。ヒコックスが次のタイフォイド・メアリーとならないと言い切れない。