パナソニとホンダの提携

Oct. 30, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パナソニックとホンダの提携が話題になっている。ホンダのHVは搭載しているエンジンとモーターを車輪の駆動に使用するモーターアシストで控えめな性能であった。発進時や低速走行時にはバッテリーで EV走行、通常走行時にはエンジンを低燃費回転域で使用し、発電機で同時にバッテリー充電を行うプリウスが燃費競争では優位に立っていた。

 しかし最近ではアコードハイブリッド(上の写真)のように常にモーターを駆動源とする車種もあらわれ、モーターの比重が高まると同時に必要なバッテリー容量も増大していた。つまりHVからEVへ軸足を移すに従ってバッテリー強化は必然であった。



 実はバッテリーに充電する際にガソリンエンジンを使うから、HVも化石燃料を燃やすという点はガソリン車と変わらない。石油から走行エネルギーへの変換の効率でいうと、現在EPA燃費でトップを走るプリウスのエネルギー単位の効率は0.56km/MJで、ホンダのFCVは 0.35km/MJで排気ガスがクリーンであることを除くと驚くほど大きい効率の差はないのだ。

 一方、ホンダはすでにリース専用でFCVを販売、トヨタも2014年度から市場に出す予定である。FCVは政府の描く「水素社会」のイメージとして期待が高まるものの、2億円を下らない水素ステーションが全国に整備されるには時間がかかることは明らかだ。それまではHV、EVともに高性能バッテリーの需要は高まる一方なのである。



 パナソニックはテスラ社と5000億円規模の電池ファクトリーをつくるとの報道がなされている。テスラ社のバッテリーは6000個以上のPC用リチウムイオンバッテリーで、現時点でこの方式が性能的には最高の方式である。何故ならPC需要を支える存在のモバイルPCでは1時間でも長い寿命と軽量化にしのぎを削っていて、それらの結合で高性能の巨大なバッテリーを製造することに開発コストは不要だからである。

 パナソニックは提携をジーエスユアサと提携関係にあるホンダに広げた。パナソニックとの電池ファクトリーに5,000億円を投資することを決めたイーロンマスクは宇宙ビジネスのスペースX社のCEOでもある。彼の周囲にはITバブルの申し子のベンチャーキャピタルや、Google、Ebayの共同創立者が投資を支えている。投資家の支援を得て電池ファクトリーが稼働したときのバッテリー供給能力は大きい。このことをみればホンダとパナソニックの提携は意味が大きいように思える。