リベリアからアメリカに入国し、米国初のエボラ出血熱の感染者となったトーマス・エリック・ダンカン氏がダラスの病院で死亡したことが確認された。ダンカン氏がアメリカに行った理由を探って行くと、感染者が故意にアメリカ入国をはたし、健康な住民と必要の無い接触を繰り返した形跡があきらかになる。
ダンカン氏はリベリアを出国する4日前に、エボラ出血熱で深刻な状態(最も感染力が強い時期)の妊婦と接触している。世話をした次の日にその女性は死亡し、女性の家族もその後死亡している。
実は、ダンカン氏は自分がエボラ出血熱に感染していたことを認識していたことが最近明らかになった。元上司と職場同僚は、リベリアを出国する前に、ダンカン氏はエボラ出血熱に感染していたことを知っていただけでなく、リベリアにいれば、確実に死ぬと思っていたと述べている。生き延びるためには、医療体制が整っているアメリカで治療を受ける方法しかないと考えていたとされる。あなたなら自分が不治の伝染病にかかったと知った時、他人に迷惑をかけないようにひっそりと死ぬだろうか?
ダンカン氏はリベリアを出国する際、空港でのエボラ対策として実施されている検問での問診で、エボラ出血熱の感染者との接触はなく、健康状態は良好と答えた。後に、本人は嘘を書いたことを告白、リベリア政府はそのことに対し、政府の感染拡大の防止対策に反した行為であり、世界の市民に多大の脅威を与えたことで、告訴することを発表した。
リベリアに留まらず、西アフリカでは、エボラ出血熱の感染から逃れようとする人達がアメリカ行きを希望している。リベリアだけでも、3,500人がアメリカへの短期滞在ビザを持っているとされる。そこにギニアとシエラレオネの2カ国を合わせると、1万3,500人がビザを持っていることになる。
ダンカン氏のニュースは西アフリアでも報道されており、アメリカや他の先進国への渡航希望者が増えている。アメリカでの空港入国検査が強化されるなか、メキシコの国境から違法移民として、アメリカに入る西アフリカ人も増加していると報告されている。エボラ感染が拡大していく恐怖と国が経済破綻していく状況から逃れたい、あるいはダンカン氏のように治療を受けられる見込みがない状況であれば、アメリカは希望の国として写るであろう。これを止めるのは容易ではない。
確信犯的な感染経路が浮かび上がって来たが、その背後に何があるのだろうか。本人は気付かないでも、必死に入国しようとする感染者をバイオテロのウイルスキャリアとして利用しようとする悪意の第三者が現れないとも限らないのだ。