超高層ビルランキングーバベルの塔ふたたび

Sept. 30, 2014


 

 上海を訪れるたびに高層ビル群のシルエットが変化していたが、最近ではとびぬけて高いビルが建設中であった。上海中心(上海タワー)は632m、128階でアラブ首長国連邦、ドバイのブルジェ-ハリファ(828m)に次ぐ世界2位の超高層ビルである。



 中国のGDPは世界第二位となったことに呼応するかのようだが、世界のトップは米国の1ワールドトレードセンターではなく、ドバイが君臨する。それだけではない。メッカのアブラージュ-アルベイトタワーズホテルが601mで3位につけたので1ワールドトレードセンターは4位にとどまった。ちなみに5位はシカゴの旧シアーズタワーである。

 こうしてみると新興国の高層ビルがランキングトップを占めている。ちなみに6位は上広がりの奇妙な外観で知られる台北101、7位と8位は上海の上海環球金融中心、環球貿易広場の上海3タワーのふたつである。トップ10の7つがアジアと中東の新興国である。これは何を意味するのか。まず頭に浮かぶのは人間の愚かさの象徴である「バベルの塔」だ。



 地盤が固く地震が少ないこと、圧倒的な資金力と地方から労働者が集められる大都市であることが絶対条件のようだ。しかしドバイのブルジェハリファ、メッカのアブラージュアルベイトタワーズホテルだけではなかった。中東は最終的に1,000mを越える3つのビルを計画中である。ひとつはクエートのブルジュ-ムバーラク-アル=カビールで1,001mである。(そういえばブガッテイバイロンが初めて1000HPを越えた市販スポーツカーとなった時にカタログには1,001HPという文字が踊っていた。)

 

 その他アラブ首長国連邦、ドバイのナキールタワー、サウジアラビア、ジッダのイングダムタワーを含めて中東のオーバー1,000mビルは富の象徴として、しばらくは高層ビルトップ3に君臨することになる。脱線するが中東の3大エアライン(アラブ首長国連邦のエミレーツ航空、エテイハド航空、カタールのカタール航空)はそれぞれの拠点空港をハブとして、2階立て長距離大型機エアバスA380を大量に発注し、資金力にものをいわせて新興エアラインの世界進出を狙う。

 

 

 ドバイに代表される高層ビルラッシュは石油マネーが不動産に流れ込んだバブルによるものである。これらの国の富が化石燃料の輸出に依存している以上、持続性は少ない。また貧富の格差が拡大する一方では治安を含めて安全快適な街づくりにはほど遠いのが現状だ。高層ビル群は「バベルの塔」の蜃気楼なのだろうか。どちらも一時のものだが人はその危うさに魅力を感じて集まってくるのかも知れない。上海中心のレポートは無謀なロシア人コンビがアップした再生回数3,500万回の人気動画(下)をみて欲しい。