マンション購入や一戸建て住居を新築しようとしている人は、屋上に大型体操電池パネルを設置による電力料金の実質値下げ広告を目にする機会が多くなったと感じているだろう。しかし電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」を巡って、九州電力など電力5社が新規受け入れを停止した問題は寝耳に水である。個人や事業者が太陽光などを使って発電した電気を電力会社が買い取ってくれるなければ、光熱費の大幅カットは成り立たない。
波紋を呼んだ最初の見直し発表後の反響が大きかったためか、政府が固定価格買い取り制度を修正し、地熱発電からの電気を優先的に購入させる方針に転換した。電力会社が新規受け入れを停止した理由は送電網が容量を超えて危険となったことだったはずだが、太陽電池はダメで地熱発電は可とする根拠はないはずだが。
要するに太陽電池に比べて伸び率が低い地熱発電にシフトしたいので業者に行政指導した、ということのようだ。しかし政府が地熱発電に積極的でなかった、ここに来て方針転換は何故なのだろうか。地熱発電は、地熱によって加熱してつくられた水蒸気でタービンを回し発電機を動かして電力を得る。熱源に地熱を使うことの他は、火力発電や原子力発電と同じである。しかし太陽エネルギーの恩恵を受けない、地球の自給自足型といえる。特徴をまとめると、
自給自足で稼働可能
燃料は地熱で無償
半永久的に安定して利用できる再生可能エネルギー
クリーンエネルギーであり、CO2排出抑制効果が高い
天候・昼夜を問わずに安定した発電が可能なこと
これまで政府が及び腰であった理由は
大容量の発電所のコストとリスクが高い
周辺環境(特に温泉)との調和
世界の活火山の7%を占めるといわれる日本のような火山国では資源に恵まれているといわれる。日本は温泉の多さ群を抜いているが、温泉資源と熱源を共有するので、温泉地域の探査や開発は地元住民の反対が予想される場合が多い。しかし寂れる一方の温泉宿が熱源を独占するのも得策ではない。熱源を発電に開放し、開発と引き換えにリゾート施設をつくって地域の活性化をはかるのもありだ。
再生可能エネルギーの変動部分を補う安定発電には有力な方式であることは間違いない。現時点では何よりもまず、再生可能エネルギーを受け止める送電網を確立しなければならないだろう。