HVだけでEVの普及がはかどらない日本はいよいよ最新技術から取り残されそうである。NRL(Naval Research Laboratory)という米海軍の研究所が、海水からCO2とH2をとりだして発電する海水発電機を開発したが、一方では海水や空気から電気エネルギーを直接取り出すEVという夢のような技術が実用化に近づいている。
nanoFLOWCELL社は海水を使うレドックスフロー型蓄電池(注)を用いて、400Lの海水から電力を引き出して600km走行できるスポーツカーQUANT
e-Sportlimousineを2014年7月のスイスジュネーブモーターショウで発表した。テスラ社の市販スポーツEV並みの華麗なデザインのこの車はガルウイングドアで最高速度350km/hとスーパーカーの部類に属するがれっきとしたEVでしかも長距離走行が可能である。
(注)レドックスフロー型蓄電池
2種類の(正負)イオンを陽イオン交換膜で隔て、両方の溶液に設けた電極上で酸化(Oxidation)反応と還元(Reduction)反応を同時に進めることによって充放電を行う化学反応電池。
一方、アルミニウム空気電池(注)という聞き慣れない電池を積むEVも開発中であり、こちらは1,600kmというEVとしては考えられないほどの航続距離を誇る。アルミニウム製造販売を手がけるアルコア社がイスラエルの企業と開発中である。
(注)アルミニウム空気電池
金属アルミニウムが水と反応して水酸化アルミニウムに変化する際に、電流を取り出すことで動作する電池。(下図参照)
これらの新型蓄電池は電気を貯めて使うのではなく、化学エネルギーを変換して電気エネルギーとする点で共通する。新しい技術に目を向けず目先の技術の改良に走った日本。日本の技術者は小学生のときに体験した「みかん電池」を技術者は忘れていたようだ。これからは技術で勝負するのは発想力の勝負になることは間違いなさそうだ。