ハッカーたちの国際イベントDEFCON

15.10.2015

Photo: The Ethical Hacker Network


DEFCONをご存知だろうか。こちらは世界中のハッカーたちが集まって、最新情報を交換したり講演をきいて知識を広めるとともに、コンテストなどのイベントを通じて交流を広める国際集会である。2015年は23回目にあたるDEFCON23だが、驚くべきことにDEFCON24DEFCON252年先の会議も決まっている人気イヴェントなのである。


DEFCONの運営団体はDark TangentというハッカーネームであるJeff Moss氏。最初の会議はラスヴェガスで開催したが100名程度のこじんまりした会議だったという。それがいまではイベント入場者は150,000人を突破して超人気状態に成長した。

 


ハッカー世界にもターゲット、侵入手口など流行があるし、第一流行らないターゲットに侵入しても仲間から嘲笑されるだけだから、進展の早いIT技術と流行に鈍感ではいられないのだ。DEFCONを思い思いに楽しみ、仕事に欠かせない最新情報を手にして参加者は帰途につく。ハッカーたちにも一定のネット作法やタブーや掟が存在する。それらをわきまえなければハッカー世界を脅かす存在であり、無視されやがて消えていくだけだ。DEFCONに来れば自然にそれらを会得したり先輩たちに直接質問したりできる。


DEFCONに連帯感を求めてやってくるハッカーたちはチャットの相手をみつけて歓談する様子はウッドストックのロックフェスのようだ。NSAの盗聴のように自分自身のセキュリテイを守る必要がある時代、ハッカーの基礎知識は護身術のようなものかもしれない。自撮り棒片手のYoutuberたちが呼びかけて集まるのに似ている。

 


実際、NSA長官がゲストスピーカーで招待されたこともある。またセキュリテイ会社SEにとっても最新情報を得る絶好の機会であるDEFCONは当分スポンサーに事欠かないだろう。DEFCONには初心者も多いが天才ハッカーたちが訪れて懇談の機会もある。天才たちから学ぶものも多いようで参加者の目は輝いている。


DEFCON会場で呼び合う名前は本名ではないが、それでも参加者同士は打ち解けて楽しいひと時を過ごす。ハッカーたちもお互いのふれあいと社交が必要なのかもしれない。最近ではアノニマスがIS攻撃を宣言したり、世のためになるハッカーのイメージもでている。暗い犯罪集団のイメージは少なくともDEFCONにはない。なおDEFCON参加ツアーは8日間で45万円だ。


なお同じ会場で行われるセキュリテイ会社を対象としたblack hatもある。こちらの参加費はDEFCONより20倍高いが、degital self defenseと銘打たれたこの会議はよりフォーマルなもので、セキュリテイソフトの脆弱性など最新情報が得られる。



ところで本家DEFCONDefense readinesss conditionの略で米軍のアタート度のレベルである。冷戦時の産物だが現在でも使われている。アラートレベルは5段階あってそれぞれにニックネームがついている。ハッカー会議よりよっぽど物騒なDEFCONレベルは次の通り。


DEFCON1 Cocked Pistol    核戦争勃発

DEFCON2  Fast Pace    核戦争の一歩手前

DEFCON3  Round House   警戒レベルの引き上げ

DEFCON4  Double Take    情報収集と警戒

DEFCON5  Fade Out     最低警戒レベル