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今年になって、紛争や貧困から逃れるため欧州に67万人の中東やアフリカからの移民が流入したとされる。ハンガリー、ポーランド、スロベニア、オーストリアは移民受け入れの限界に達し、国境管理を始めた。EU各国内で移民政策への国民の批判が高っているなか、移民受け入れ反対派の勢力は拡大しつつあり、デモや暴動などが起きている。移民問題を深刻化するのは、財政圧迫、社会的困難、宗教的対立に加え、移民の流入と共に、感染症が持ち込まれる可能性である。
警告される感染症
移民が持ち込む感染症は国民に健康被害をもたらす可能性があると警告を発したのがポーランドのヤロスワフ・カチンスキ元首相である。「差別発言」と批判を受けたが、ギリシャでコレラ、ウィーンで赤痢、寄生虫による感染症が発生、増加していると発言している。
渡航者の疫病データは、EuroTravNetなどの熱帯医学や渡航医学の専門家ネットワークで集められ、疫患をモニタリング、アウトブレイクの予防や検出するのに有効なシステムがある。だが、移民に関しては、ほとんど健康告知が無いまま、流入しているのが現実である。移民の多くは、衛生状態が悪い、十分な医療施設がない貧困国や紛争国から来ているため、感染症が今後移民を受け入れた欧州諸国で発生する可能性は高いと思われる。下の写真は難民を診察するライプチヒの臨時医療施設の張り紙。難民が読めるようにアラビック表記までしてあるが現場の医師たちは混乱している。膨大な数の難民を診察することができないためだ。ドイツから感染症のアウトブレイクが始まる可能性が高いと指摘されている。
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世界に広まる感染症
欧州では2012年以降(移民が増加始めた時期)、ポルトガルでデング熱、スペインでチクングニア熱、ギリシャではコレラ、1960年代に撲滅されたと言われるマラリア、ウェスト・ナイル熱などの熱帯発熱性感染症、イタリアでは住血吸虫症やオピストルキス症のアウトブレイクの発生が報告されている。これらの国では財政悪化で公共医療の低下に加えて、移民の流入が原囲とされている。
中東やアフリカの紛争国においても、長年の紛争による公共医療の崩壊でポリオ、はしか、デング熱、マラリア、結核、呼吸系感染症、寄生虫の感染症が広範囲で増加しているのが確認されている。
移民を受け入れる際に、健康告知を行うシステムの構築が重要となる。今後も移民の流入が続くなか、早急にこの問題の対応が求められる。