国際空港ランキングにみる空港の人気度

16.10.2015

Photo: phone.todayonline.com

 

世界各国の空港の評価はその国の表玄関を評価されるに等しいから、旅行者の立場でなくとも気になるところだが、2015年度のランキングが英国の航空調査会社スカイトラックスにより発表された。


相変わらず上位は安定していてシンガポールのチャンギ国際空港の至れり尽くせりのサービスと植物による癒し空間は圧倒的に評価が高かった。チャンギ空港は3年連続で1位を獲得している。チャンギ空港の到着ロビーはまるで高級ショッピングモールの雰囲気である。

 


スカイトラックスによる2015年度世界空港ランキングは次のとおり。(総合評価であり旅客数、発着ランキングとは別)

 

1チャンギ国際空港(シンガポール)
2
仁川国際空港(Incheon International Airport、韓国)
3
ミュンヘン国際空港(Munich Airport、ドイツ)
4
香港国際空港(Hong Kong International Airport
5
東京国際(羽田)空港(Tokyo Haneda Airport、日本)
6
チューリヒ国際空港(Zurich Airport、スイス)
7
中部国際空港(Central Japan International Airport、日本)
8
ロンドン ヒースロー空港(Heathrow Airport、英国)
9
アムステルダム スキポール空港(Amsterdam Schiphol Airport、オランダ)
10
北京(首都)国際空港(Beijing Capital International Airport、中国)


チャンギ空港はスケールが大きく通常の機能があれば良いといった過去の基準にとらわれず、旅行者の立場に立って、あればいいな、というサービス(例えば無料で待ち時間を過ごせるシアターやマッサージ)や自然の緑に囲まれた癒し空間の人気が特に高い。


チャンギで待ち時間が長い旅行者には市内ミニツアーが無料で提供される。こういうサービスは実にありがたい。筆者は昼時にチューリッヒ空港に着き、税関審査でトランジットだといったら、地下の電車に乗って市内でランチを食べてこい、といわれた。アドバイスに従って列車にのると快適に市内の中心に行けて美味しいランチが楽しめた。チューリッヒが6位にあるのは納得出来るが、意外にもセントレアが7位にランキングされている。またかつて悪名高かったヒースローも8位に輝いたのはショッピングモール効果が大きいのかもしれない。



Photo: carbonate.tv

 


2014年度の旅客数ランキング

1位 アトランタ(米国)

2位 北京

3位 ロンドン

4位 羽田

5位 ロサンゼルス

6位 ドバイ

7位 シカゴ

8位 シャルルドゴール(フランス)

9位 ダラス

10位 香港

 

チャンギ空港は16位。規模からいけばハブとしてのランキングは高くないが、アジアのハブといえば仁川と双璧の存在感を示す。仁川は羽田の国際線増便の煽りで利用客が減少し旅客数20位から圏外にある。それでもチャンギと人気を2分する理由があるのだろう。

 

 

ところで少し古いがACIのまとめた発着回数ランキング(2014は以下の通り。

1位 シカゴ(米国)

2位 アトランンタ(米国)

3位 ロサンゼルス(米国)

4位 ダラス(米国)

5位 北京(中国)

6位 デンバー(米国)

7位 シャーロット(米国)

8位 ラスベガス(米国)

9位 ヒューストン(米国)

10位 シャルルドゴール(フランス)

 

異常ともいえるアメリカ国内線の離発着の多さで、発着回数ランキング10位に入った国際空港は北京とパリを除けばすべて米国主要都市。アメリカ人のmobilityの高さは今に始まったことではないが、今後も空の旅客数は増大する一方で空港混雑度も限界に達しそうな勢いだ。そのため主要な空港では拡張につぐ拡張が行われ規模が拡大している。

 

面白い現象は貨物取扱量ランキングで8位に成田空港が入っていることだ。羽田が東京国際空港の名前を取り戻して以来、成田国際空港は貨物のハブの比率が高くなった。東京へのアクセスを考えると羽田以外の玄関口はないだろうから成田が貨物ハブ空港として、両者の棲み分けは望ましいところだろう。

 

しかしチャンギに対抗するとしたら24時間空港の機能を充実し、旅行客が快適に夜間の時間を過ごせる工夫が必要だろう。レインボウブルリッジや屋形船ショートツアーなど、ナイトタイムを演出する企画は喜ばれるだろうし、メガフロートショッピングモールが隣接していたら、喜ばれることは間違いない。富裕層向けに昼夜のヘリツアーもいいかもしれない。また銀座の寿司屋や胃外国人に人気の高いレストランのイートインをつくったら行列ができるに違いない。

 

 

どこもここもチャンギを真似する必要はないが、その国の特徴を生かした企画が必要なことは確かだ。羽田は立派になったがサービスに関しては地方空港と変わらない。一歩踏み込んだサービスが必要だ。ラスベガス空港に降り立つともうスロットマシーンの世界が広がる。カジノ好きなら瞬間的にテンションが上がるだろう。羽田にもそういった「個性」が必要なのではないだろうか。チャンギは「癒し」でそれが人気を得た。そう考えると「おもてなし」の質が問われる時代になったということかもしれない。