アメリカは1980年以降、社会格差は拡大、今では中流階級の貧困化が深刻な社会問題となっている。それを反映した1つの調査が今年6月に行われた。ニューヨーク・タイムズの調査結果によると、住みにくい場所と住みやすい場所では、経済的格差だけではなく、考え方、価値観、生活習慣のギャップがあることが明らかになった。
調査は全米の州を3,135群別で分析、最も住みにくい場所から最も住みやすい場所をランク付けした。分析は教育、世帯収入、失業率、障害補償、肥満度、平均余命の6つの要因に基づく。群の順位が確定した後、Googleの主任エコノミストHal
Varianは、格差とウェブ検索結果の関係を分析した.その結果、2分化したアメリカの姿が浮上した。
まずは、全米計3,135の群から、最も住みやすい群と最も住みにくい群の順位が以下である。
最も住やすい地域 最も住みにくい地域
1. Los Alamos, New Mexico 1. Clay,
Kentucky
2. Arlington,
Virginia 2. Jackson, Kentucky
3. Fairfax,
Virginia 3. Leslie,
Kentucky
4. Loudoun,
Virginia 4. Lee, Kentucky
5. Summit,
Utah
5. Humphreys, Mississippi
6. Montgomery, Virginia
6. East Carroll, Louisiana
7. Alexandria, Maryland
7. Breathitt, Kentucky
8. Lincoln, South Dakota
8. Jefferson, Georgia
9. Howard,
Maryland
9. Magoffin, Kentucky
10. Williamson, Tennessee
10. Lee, Arkansas
住みやすい地域の特徴は、世帯収入の中央値が高い(1,010万円から730万円)、学歴が高い(大学卒が40%から60%)、失業率が低い(3.5%から5.2%)、障害補償の受取人数が低い(0.2%から0.4%)、肥満度が低い(21%から34%)、平均余命が高い(81.2歳から83.3歳)であった。
住みにくい地域の特徴は、世帯収入の中央値が低い(270万円から220万円)、学歴が低い(大学卒は5.5%から11.4%)、失業率が高い(11.3%から16.5%)、障害補償の受取人数が高い(6.3%から15.7%)、肥満度が高い(45%から53%)、平均余命が低い(71.4歳から73.7歳)であった。
地域の特徴を特定したところで、全米で共通に検索が高い言葉を除外した後、地域ごとにウェブで最も検索数が高い言葉を探った。その結果が以下である。
住みやすい地域
住みにくい地域
1.Canon
Elph*
1. 糖尿病治療
2.ジョギング 2.アンチクライスト(反キリスト)
3.Nb-41(バッテリ)* 3.38口径
4.年末年始の挨拶 4.血圧を下げる方法
5.ipad アプリ
5. 糖尿病食事
6.sd 1400* 6. 地獄
7.sd 1300* 7. アンチクライスト(反キリスト)
8.sd
400*
8. 犬用糖尿病薬
9.sx210is*
9. 深刻なかゆみ
10.Vengaboys
10. キリスト教終末論
住みやすい地域では、可処分所得が高いことから、最新型カメラ*といった新しい技術の商品に大変な関心をもっていることがわかる。その反対に、貧困レベルの生活をしている地域では、健康と食事に対する知識が低く、ファストフードを食べる傾向があるため、糖尿病が高く、その対応に関する検索が多い。また、キリスト教で保守派の地域であるため、今の世界情勢や社会問題を聖書の終末論で解釈しようとする背景がうかがえる。
以前のアメリカはこれほど、2分化した国ではなかった。明らかに、1980年代から始まった製造業の中国移転がもたらした産業の空洞化、リーマンショックによる景気後退とそこから景気回復を果たせなかったことが、より中流階級の貧困化を招いた。今後さらに、住みにくい地域が増え、格差がよりはっきりと、社会に不安と混乱をもたらすであろう。