世界初の電子マネー国家

Sept. 7, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、bitcoinを含め200種類以上の仮想通貨が世界中で活用されている。P2Pネットワークを使った通貨であるため、通貨の価値は国の金融政策や他国の経済状況に左右されないことが最大の利点である。その仮想通貨(デジタル通貨)を採用し、年内に世界初の電子マネー国家を目指す国がある。

 金融破綻後の2000年に、エクアドルは自国通貨スクレを廃止、正式通貨として米国ドルを採用した。安定した通貨のドルは経済の安定と成長をもたらした。しかし2010年から、経常収支赤字は年々拡大、財政赤字は45億ドルまで膨らんだ。エクアドルは原由購入国の中国からこれまで融資を受けており、さらに今年、20億の追加融資と引き換えに原由の権益を中国に与えた。それでも、財政赤字は悪化を続け、保有する金資産の半分以上を担保にゴールマン・サックスから4億ドルの融資を得た。



 自国の通貨をもつ国と比べ、ドル化経済では自国で通貨を発行できず、使える財政政策は増税や新税の導入による歳入の拡大か、歳出の削減の2つの方法に限られる。そこで、エクアドルは仮想通貨に注目したのである。

 新しいデジタル通貨の詳細については不明であるものの、12月から活用が始まる。中央銀行の管理下におかれ、既存のドルもこれまで通りに使用される方針としている。公務員の給料の支払や公共事業費などには使用されず、総人口のほぼ半数となる48%を占める、銀行を使わない貧困層や農村部の人々を対象としている。



 Bitcoin のような仮想通貨はオープンソースに基づき、国の中央銀行が発行する通貨の「代替」として使用されているのに対して、エクアドルの新しいデジタル通貨は中央銀行の管理下にある「中央集権システム」である。国の通貨供給量を増やす手段または債務の負担を軽くするためのドルの切り下げ策として使用されるのが本当の目的であるかは、これから明らかになっていくであろう。個人のために開発された仮想通貨の目的は、国が管理する紙幣を電子マネーに置き換えることではないはずだ。