スコットランドの住民は英国に留まるか、独立を選択するかによって生活、経済は大きく変わることになる。その選択はスコットランドに留まらず、国から分裂独立を求めている世界各地域に与える影響も多大である。
分裂独立を選択した場合、何が変わるのか?
⑴ どの通貨を使用するのか? 独自通貨の導入、英国ポンド、ユーロの使用からの選択はあるが、英国政府はポンドの使用を認めない立場をとっており、ユーロの使用はEU参加諸国に限るため、使用する通貨は当分未定となる。
⑵ 現国王のエリザベス女王は引き続きスコットランドの国王となる。
⑶ 地勢上、イギリスは1/3の領土を失う。
⑷ イギリスと比べ、スコットランド人は一人当たり1,300ドル多く税金を支払っているため、英国税金収入が減少する。
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英国GDPの減少。2013年に世界16位の原由生産量の北海油田の2/3はスコットランド所有となる可能性が高いたことから、収益が減少するとみられる。その他に、ウイスキーやサーモンといった特産品の輸出、ゴルフ発祥地であるスコットランドが持つ200以上のゴルフコースとトーナメント収益や観光収入などから得る収益が無くなる。
⑹ EU と NATOに、新たにスコットランドとして加入を求める必要がでる。
⑺ スコットランド独自の軍隊を持つことができる。現在イギリス軍所属の軍人はスコットランド軍に移行することになる。
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イギリス海軍の作戦基地の1つである、クライド海軍基地にある潜水発射弾道ミサイルを搭載したヴァンガード級原子力潜水艦4隻(トライデント潜水艦部隊)の配置移転が必要となる。移転先は大きな問題となるであろう。また核兵器貯蔵所の移転も考える必要がある。
⑼ イギリス政府が導入したベッドルーム税(注)やユニバーサル・クレジット(低所得層向けの給付制度)の廃止とスコットランドの人口構造と経済状況に合った新たな社会福祉制度の導入が検討される。
(注)個人に支給されている住宅手当が社会福祉の大幅カットにより、空き部屋の数によって削減率が決まる制度である。家族の人数と家の部屋の数で計算されることから、少人数で部屋数が多いほど住宅手当のカット率が高くなる。)
(10) スコットランド住民にはスコットランドのパスポートが発行される。
(11) 英国の二重夏時間の復活実施に対して、スコットランドは実施しないので時間差ができる。
(12) イギリス政府が保有する310トンの金(世界18位)のうち、スコットランドが保有する分の返還を求める権利を持つことになる。
(13) 国旗と国歌が変わる。
間もなくスコットランドにとって2度とない将来を決める機会で、どのような結論をだすかは、その住民たちの決断と意志にある。