世界空港ランキングのメッセージ

Sept. 13, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界のエアラインと空港は大競争と再編成時代に入ったことはすでにふれた。関空、伊丹と(おそらくは)羽田、成田の空港運用の両立が困難であることもはっきりしたいま、どちらに重点を億のか、決断が迫られている日本だが、ドイツの週刊誌"Focus"は、旅客の輸送量を基に「世界5大空港」を選出した。旅客の輸送量の統計によるランキングははたして予想通りの結果となった。

それによると、ベスト5は以下のようになる。

1 アトランタ国際空港(ATL)
2 北京首都国際空港(PEK)
3 ロンドン・ヒースロー空港(LHR)
4 東京国際空港(羽田空港)(HND)
5 シカゴ・オヘア国際空港(ORD)



 統計は2013年度資料に基づくものである。アジアのハブ空港(仁川空港、チャンギ空港)や現在、躍進を続けている中東の3大ハブ空港(ドーハ空港、ドバイ空港、アブダビ空港)は含まれていない。



アトランタ空港(ATL)
 ジョージア州都アトランタは税制が有利であるメリットを生かして企業誘致がさかんで、空港から市内に入る高速道路からインフラの建設ラッシュが目につく。筆者が訪れた80年代でも広大な屋内パーキングから出口をみつけるのに苦労した巨大な空港で、ご存知デルタ航空の基地となっている。


 アトランタはまたシカゴ同様、全米へのハブたりえる地勢的条件も備えている。市内とは11kmの距離で環状線との接続もあって車アクセス性は高い。

個人評価:国際性★3、快適性★4、利便性★4



北京国際空港(PEK)
 オリンピック以前の空港は暗くてみすぼらしい旧式だった。チェックインバゲッジのターンテーブルは設計が悪くて、カーブを曲がりきれないスーツケースが振り落とされる。オリンピック前のインフラ整備により拡張されて新しい建物は快適になった。


 その前にも日本のODA予算により大改装されているが、現在ではそのことを知る人はいない。北京市内と25km以上離れている。地下鉄があるがバゲッジ片手の旅行客は長い行列でタクシに乗り込む。3ターミナルを合計すると世界2位の規模もうなづける。

個人評価:国際性★2、快適性★3、利便性★2



ロンドン・ヒースロー空港(LHR)
 昔のことで恐縮だが、この空港の発着方式は変わっていて、国際線の乗客は搭乗時刻が近くなるまでゲートが知らされない。窮屈な場所に行き先の異なる外国人が集められ、ゲート表示のちっぽけなブラウン管デイスプレイをじっと見つめるが、皆不愉快そうで機嫌が悪いのがわかる。ようやくアナウンスとともにブラウン管表示にゲートが表示されると、おもむろに立ち上がりほっとした表情でゲートに向かう。80年初期には到着ロビーでチェックインバゲッジの盗難も多かった。


 拡張につぐ拡張で現在は5ターミナルで運用されるが、特筆されることは民営化により巨大なショッピングモール化したことである。ウエブがCOMであることに注意。おかげでいまはドゴール空港と並んで出発することは高価な買い物と等価である。ロンドン市内には2階を木立にぶつけながら進む2階建てバスが有名だが、市内から25kmにある。

個人評価:国際性★5、快適性★4、利便性★3



東京国際空港(羽田空港)(HND)
 東京に住む人にとって、またBoeing707世代なら国際空港は羽田しか頭にないのではないか。実際、羽田は「東京国際空港」である。手狭になった羽田に変わる新空港という政府の方針であった成田空港は「成田国際空港」と呼ばれ、統計上は国際線旅客量で羽田を大きく上回る。


 しかし成田のインフラは先進国レベルには及ばないし、国内線乗り継ぎ客の長い列をみるたびにハブとは呼べない。一方、羽田は拡張が緩和され国際便枠も増大すると、圧倒的に便利なアクセス性と夜間発着を武器として滑走路とターミナル拡張により、オリンピックまでには東京国際空港の役割が逆転しそうである。羽田と成田に特徴を持たせた運用が必要になったといえる。羽田と都心は20km、成田は66kmである。

個人評価:国際性★3、快適性★4、利便性★5



シカゴ・オヘア国際空港(ORD
 シカゴ自身が米国中西部の中心都市で商業ハブであるように国内線もユナイテッド航空をはじめ、旅客数が多い。シカゴがWindy Cityと呼ばれるだけあって冬場の気候はきびしい。発着遅れは頻繁でそのため乗り換えができなかったり足止めを食らう覚悟がいる。日本からNYを含む東部都市への乗り継ぎ便は多いが筆者は避けたい。4ターミナル制であるが7本の滑走路を持つ巨大空港である。市内と空港の距離は平均的な27kmである。

個人評価:国際性★3、快適性★3、利便性★4



 個人評価を記したが筆者はランキング上位の空港を避けている。理由は巨大空港は感染症やテロリスクが増えることもあるが、混雑していて不愉快だからである。ちなみに筆者の快適な空港ランキングは1位がコペンハーゲン空港、2位がワルシャワフレデリックショパン空港(WAW)、3位はチューリッヒ空港(ZRH)、4位はブラジリアのクビシェッキ空港(BSB)そして5位がニューメキシコアルバカーキ空港(ABQ)である。


 いずれも人が少なく静かで(コペンハーゲン空港はアナウンスが禁止されている)、快適だからである。こういう空港へのチケットだったらフライト時間が長くても、また市内から離れていても苦にならない。