サンフランシスコとapple freak

Sept. 18, 2014

 

 筆者がサンフランシスコで滞在するSan Francisco Marriott Marquisは便利なロケーションにある。表通りはユニオンスクエアだし、裏通りにでると会議や展示場で有名なモスコーニセンターがある。モスコーニはサンフランシスコの元市長で、ゲイを認めた事で有名、ショーンペンの映画「ミルク」は彼がモデルである。


 滞在中、コンシェルジュを通りすがりに、「明日からappleの展示会がモスコーニであるのでレストランは予約で一杯になる」といわれた。それほどまでに影響力のあるappleの新製品発表会とは何なんだ、と思ったものだ。サンフランシスコっ子にとってappleは地元に富をもたらす守護神のようだ。

 

守りに入ったiphone

 今月発表された iphone6はスペックが予想通りで、正常進化で安心感を与えるものの、エッジにいる人々(apple freak)には、物足りなさを与え、同時に発表されたiwatchの保守性にはあきれかえったものである。そのappleが10月21日に新型iPadを発表する。なるほど。ジョブス時代には新製品プレゼンの最後にあったおなじみの"One more thing..."が、1カ月遅れでやって来たらしい。


 筆者はPCはMac一筋で来ているがiphoneも必ずしも飛びついたわけではないし、タブレットは持たない主義だ。仮に持ったとしてもMacbookAirを持ち出すことは目に見えているからだ。さてiphoneで守りの姿勢が明らかになったappleはiPadでも正常進化をみせそうである。9.7インチ、miniの新型とともに12.9インチの画面の新型がラインアップに加わる。これでMacbookAir13インチ並みの作業領域が確保されるがiOSアプリでできることが広がったわけではない。



appleの利益率を支えるフォックスコン
 しかしよく考えてみよう。昨年の新型iPad発表からまだ1年である。そんなに寿命は短いのだろうか。appleの利益率が高いのはフォックスコンをたたいて底値で納入させて、50%近い利益をのせて(常識的にはぼったくり)販売するのと、2年と考えられている端末のサイクルを1年に前倒しして、新型攻勢を行うためだ。顧客はそれを知りつつも、最新型を購入できるというステータスに陶酔して購入する。最近、新型モデルから距離を置くユーザーが増えている。


 例えばNexus7など型落ちモデルに人気が集まるのは、消費者が最新型というステータスと実質を天秤にかけた結果、賢い判断をしたということだろう。特に割高感のある日本でのキャリアの購入価格については不透明だ。世界にはびこる「2年縛り」にもうんざりだ。SIMフリーでいっそう不平等が拡大する。この辺で意識改革が必要な時に来ているように思える。

 


革新の持続性
 革新に持続性を持たせることはできないのであれば、別の市場で高い利益率でため込んだ資本を投入してこそappleらしいのではないだろうか。本社ビルを建て替えると債務が増えて会社が傾く、といわれる。



 appleがクパチーノに建設中の新社屋ビルはさながら着陸したUFOのような景観だが、普通の大企業になったことを象徴しているのかもしれない。原点は何だったのかをappleだけでなくユーザーも一緒に考える必要がある。パロアルトに住む知人は近くにapple店舗1号店があることを自慢していた。サンフランシスコのapple freakはほぼ全ての住民らしい。写真はapple computer 1号機。