米株式バブルの崩壊:デスクロスの出現は株式暴落の予兆

Aug. 30, 2015

Photo: Yahoo FINANCE


 チャート分析で、株価の移動平均線の動きは株価の方向性や転換(下げ相場、上げ相場)を予測するのに有効な手法である。なかでも、短期移動平均線が上から下へ長期移動平均線を交差した点をデスクロスと呼ぶ。デスクロスは株価が下げ相場に転じたことを示す。米国株式では次々とデスクロスが出現している。


 過去を振り返ってみると、タイムラグはあるがデスクロスが出現して、株価大暴落が起きている。1929年のウォール街大暴落、1971年のニクソンショック、1987年のブラックマンデー、2001年のITバブル、2008年のリーマンショックが挙げられる。



デスクロスとは

 50日移動平均線が100日移動平均線と交差したデスクロスは株価の下降圧力が強まっていることを表す。50日移動平均線が200日移動平均線を交差し抜けると、株価は下落方向に転じたことのサインとして表れる。長期的な下降傾向においての短期的な下落が起きることを示唆している。50日移動平均線が300日移動平均線を交差した場合、30~40%の大暴落が起きることを示している。



S&P 500にデスクロスが出現

 8月28日に、4年ぶりにS&P 500にデスクロスが出現した。最後にデスクロスが現れたのが2011年8月12日で、株価が下落、しばらく低値で推移した後、約6ヶ月後に株価は上昇に転じたのである。


 今回は、50日と200日移動平均線のデスクロスの出現である。アップル社を含めて、実にS&P 500の263銘柄、約53%にデスクロスが形成しているのである。つまり、今後S&P 500は長期的な下降方向に転じたことを意味する。 2011年と比べ、米国を含め世界経済が不況に向かう状況のなか、回復が見えない下げ相場に入ったとも言える。


Source: MarketWatch

 

 

NYダウに出現したデスクロス

 ダウ平均株価における最初のデスクロスは50日と100日移動平均線の交差である。8 月11日にはダウ平均株価に50日と200日移動平均線の2番目のデスクロスが確認された。続いて、18日には60%の銘柄の株価にデスクロスが現れた。NYダウは5月に最高値をつけた後、20日から始まった株価下落で10.4%下げた。下げ止まりは見せているように見えるが、3番目のデスクロス、50日と300日移動平均線のデスクロスが近いうち出現する可能性が非常に高いことから、今後株価大暴落が起きることが予測できる。



 Source: Trader's Choice

 

 

 既に、ダウ平均株価(8月11日)、NYSE総合株価指数(8月11日)、ダウ輸送株20種平均(5月26日)、ダウ公共株15種平均(5月7日)にデスクロスが確認できた。一週間後にデスクロスが出現しそうなのがラッセル2000で、数週間後にデスクロスが形成されると見ているのでが、ナスダック総合指数とダウにおいての3番目のデスクロス。株価は大暴落に向かっているのは確かである。その規模は大きく、その後の不況はこれまでとはない規模のものとなるであろう。