Photo: opensource.com
友人からフリーソフトが送られてきた。使ってみて使用レポートが欲しいというそのメールにはあるURLが入っている。昔ならDropboxか圧縮ファイルなどが添付されていたものだ。
そのURLはGitHubのものだった。しかし会社のURLを開いてもピンとこない。メール添付のURLを開くとソフト製作者のリポジトリだった。ダウンロードはこのページから、ということらしい。
GitHubは急成長しているソフトウエア開発プロジェクトのためのリソース共有サイトである。ちなみにGitとはLinuxのソースコード管理を目的としたソースコードの変更履歴を管理するための分散型バージョン管理システムである。
複数のプログラマーが共同でソースコードを開発する際にはネットワーク上で仕事を進めるユーザーがソースコードの全体像を把握することが、必要不可欠である。2005年にLinux製作者によって開発されたGitはunix、OS X、windowsなどの代表的なOSに対応する無料で提供される分散型ソースコード管理システムで多くのプログラマーの支持を得た。
GitHubはGitを用いたソフトウエア開発を行う共有サイト(Hub)であるが、強力な機能でLinuxユーザーを中心として人気が高まり、現在ではGoogleやMicrosoftを寄せ付けない最大のGitホステイングサイトとなっている。
GitHubの成功はオープンソース(フリーソフトの共有)に傾くソフトコーデイング業界のトレンドに整合している。開発に必要なソースコードのリポジトリー(注1)を提供するウエブサービスをSourceForgeと呼ぶ。1999年にVA Software者がソフトウエア開発者に無償で提供したSourceForgeは最初のホステイングサービスであったが、多くのユーザーがGitHubに流れた。
(注1)リポジトリはシステム開発の各工程でのリソースをメタ情報として管理するスペース。
Google社がこのビジネスにいち早く目をつけGoogle版ホステイングサービスGoogle Codeを開発した。SourceForgeをもじってSourceForceと称し、それを提供するサービスでオープンソース界の覇者Linuxに対抗したのである。
しかし同じ目的を持つGitHubの流通の方が一足早かった。GoogleはGoogle Codeを10年後に閉鎖した。Google Codeの失敗の理由のひとつは同社がオープンソフト開発を支援するといしながら、ソースコードの囲い込みを狙った思惑が、オープンコードの精神にそぐわないとして開発者から嫌われたことにある。
GitHubの登録ユーザーは900万人で、毎月サイトを訪れる非登録者は2,000万人。Microsoft社は最近、重要な部分のソースコードを公開したが、そのために自社のホステイングサービスCodePlexを使用せずGiTHubを用いたほどである。GitHubの圧倒的な流通性を認めためである。
Microsoft社のCodePlexのほかに、老舗のSourceForeやBitBucketなどのホステイングサービスがあるものの、オープンソース開発者のほとんどはGitHubに集まっている。GitHubで流通している言語(下の図)をみるとJavaの躍進が目立つ。
Photo: softwarefreedom.org
GitHubに巨人たち(Microsoft、Google)が負けたことは、大きな意味がある。オープンソフト
開発にこうしたソフトを売って利益を上げるビジネスモデルが整合しない、ことをソース開発者もこうした巨大企業も認めざるを得ない。PCのライフとOSを同期させて両者を同時に売りまくる時代の終焉でもある。
ソフトウエア開発者のワンワールドはすでに存在しているのかもしれない。オープンソースとは知的共有である。資産の格差が極端に開いている社会にあって、誰にでもソースコード開発環境が得られるGitHubはどうやら機会均等の世界といえそうだ。