ビルダバーグ会議2016は、9日からドイツのドレスデンで12日まで開催される。第1回ビルダバーグ会議が1954に開催以来、4年に1回は米国大統領選の年に合わせて、米国で開催されてきた。今年は米国の将来の方向性を決める重要な大統領選にも関わらず、ヨーロッパで開催されている。
第64回ビルダバーグ会議はドレスデンのタッシェンベルグパレ・サンピンスキーホテルで開催されている。会議場のホテルの前にはツヴィンガー宮殿があり、ドレスデン市内の中心に位置しているため、ホテルの周りには鉄棒フェンスが建設、立ち入り禁止区域が設定、ドイツ軍兵士400人と警察が警備に関わっている。
毎年開催されるビルダーバーグ会議は、世界の最も影響力と資金力を持つ政治家、政府関係者、多国籍企業CEO、国際機関や金融機関の代表、ヨーロッパの王族や貴族、メディア、学者などの特定の「エリート・グローバリスト」のみが参加するといった、完全非公開の会議である。今年は20カ国から130人が参加、数人のゲスト参加者の一人としてドイツのアンゲル・メルケル首相が参加する予定である。
2016年会議参加者の特徴
会議参加者の名簿は公式ウェブサイトで、議題と共に公表されている。今年の特徴は、ビルダバーグ会議の創立に関わり、影響力を行使してきたデビッド・ロックフェラー(101歳)とオランダのベアトリクス女王(78歳)が欠席、93歳のヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の参加はあるものの、創立当初の参加者の高齢化が目立つことである。
IT企業からの多くの参加者も注目される。2014年からIT技術革新や人工知能研究が重要議題となっており、その傾向は今年も続いている。なかでも、人工知能企業のグーグル・ディープマインド、オープンAI、世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービスのLinkedin、CIA支援を受けている政府省庁や法執行機関にデータ分析を提供しているビッグデータ企業のPalantir Technologies、Facebook、PayPalなどの創立者やCEOの参加が予定されている。
金融界からは、破綻危機が噂されているドイツのドイツ銀行のCEOとスペインのサンタンデール銀行の会長、麻薬取引からの資金洗浄、金利と為替、貴金属価格の不正操作などで起訴されているHSBC(香港上海銀行)の会長、欧州中央銀行の理事、ラガルドIMF理事が出席、今後の世界金融状況の動向が注目される。
その他に元英MI6と元米CIA長官、「ワシントンDCのメディチ」と呼ばれ、長年米のゴールドマン・サークスの取締役であるジェームズ・ジョンソンとドイツ取引所のケンジューターCEO(年内にドイツ取引所とロンドン証券取引所が合併成立するとの見込み)が出席する。
会議議題
公表されている会議議題には以下が含まれている。
このような議題であれば、会議を秘密に開催、非公開にする必要はないはずだが、参加名簿を調べていくと、「エリート・グローバリスト」たちに、いくつかの重要なアジェンダがあることがみてとれる。
Source: newsflash.com
写真はツヴィンガー宮殿の夜景。フリードリッヒ・アウグスト1世が建築したバロック様式の宮殿でドレスデンの名所となっている。ドレスデン美術館の一部となっている。