英国離脱で高まるEU崩壊リスク

18.06.2016

Photo: leeds.ac.uk

 

 英国がEU離脱(Brexit: ブレクジット)すれば、EU加盟国が英国の後に続いてEUを離脱するといったドミノ効果を引き起こす可能性が高い。特に、オランダ、チェコ共和国、フランスではEU離脱を支持する世論が高まっている。16日には、スイスはEU加盟申請を取り下げる議会決議が可決された。ブレクジットはEU加盟を希望する欧州諸国にも影響を及ぼしている。

 

オランダ

 オランダでは、反イスラム党と反EU自由党への支持が拡大している。2017年のオランダ議会の下院選挙では、議席数150のうち42席(与党77)を獲得する勢いを示している。多くのオランダ国民は、EUのシリア移民政策に対して不満を募らせていることがみえてくる。2月に行われた世論調査によると、53%EU残留・離脱に関する国民投票の開催を求めており、44%は残留、43%は離脱、13%は分からないと答えている。残留と離脱の差は1%と低く、英国が離脱すれば、世論が離脱に傾く可能性がある。

 

 

チェコ共和国

 1993年に設立されたEUの中では、チェコ共和国は2004年にEU加盟国となり、その歴史はまだ短い。ブレクジットに関して、ボフスラフ・ソボトカ首相は最近、英国がEU離脱すれば、「チェクジット」(Czexit)の可能性を示唆した。

 

 

 オランダと同様に、EUのシリア移民政策により、チェコは移民を受け入れたが、ルボミール・ザオラーレク外務大臣は「欧州委員会の移民政策は失敗である。」と指摘する。

 

さらに「炎に油を注ぐように、ヨーロッパを不安定にした。ヨーロッパでは、移民たちは頼れる家族はいなく、移民を受け入れるインフラもなく、宗教的にも満たされる環境は存在しない。」

「移民たちはヨーロッパ社会で孤立、社会に同化しない。チェコでは、我々を尊重しない人々をなぜ受け入れる必要があるのかといった意見が広がっている。」と国民の不満を示した。

 

 201510月に行われた世論調査によると、EU離脱の支持率は62%と高く、チェコでは欧州委員会が加盟国に課せる政策に不満が高まっている。

 

 

フランス

 6 月のル・モンド紙が行った世論調査では、2017年のフランス大統領候補として、反EUと移民排斥を掲げる国民戦緑党首のマリーヌ・ル・ペン氏の支持率が最も高い28%であった。現職のフランソワ・オランド大統領の支持は低迷が続いており14%にまで下げている。3月に実施された世論調査では、50%以上の有権者がEU残留・離脱を問うフランス国民投票を望んだ。