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英国のEU残留・離脱の国民投票を前に、本日21日にドイツ憲法裁判所は、欧州中央銀行(ECB)が2012に創設した債券購入プログラム(Outright Monetary Transactions: OMT)がドイツ憲法に違反するかについての判決を下す。
2012年にギリシャ財政破綻から始まったユーロ圏債務危機の悪化を阻止するための 債券購入プログラムは、加盟国の救済策(ベールアウト)、財政支援として、当初からドイツ連銀(ブンデスバンク)は一貫して批判的な立場をとってきた。
債券購入プログラムがEU条約に違反し、ECBの権限を超えていると2014年に35,000人の学者と政治家を含む集団提訴が行われた。訴えに対し欧州司法裁判所は合憲判決を下した。今回の判決は独憲法に違反しているかを問うものである。債券購入プログラムは事実上、ドイツ連銀を通じて加盟国の財政を支援する行為となるため、他国の財政赤字をドイツが負担することを禁じている独憲法を違反することになる。EU加盟国でありながら、ドイツ憲法下にあるドイツ連銀に対し、どのような形でドイツ憲法裁判所が判決を下されるのか注目される。
ECBの最大の出資国であるドイツでは、ギリシャに対する金融支援で納税者に多大な負担がかかった。今回の判決で債券購入プログラムが独憲法を違憲、ドイツ連銀の参加を禁じる判決が出れば、EUにおける債務危機再発時には、ECBによる加盟国救済が困難となる。ユーロ圏の恒久的救済基金であるESM(欧州安定メカニズム)の加盟国救済のための資金が不足すると予想され、その場合、ドイツから負担金増を要求することができなくなる。
また判決をきっかけにEUにおけるECBの役割と責任範囲が問われることになる。加盟国の財政救済を実施しなければならない責務が論点となる可能性は高い。
ECBによる量的緩和策で、ECBのバランスシートの資産は3.03兆ユーロまで膨れ上がった。ドイツ連銀は量的緩和や景気刺激策に反対の姿勢を保ってきた。マイナス金利策の継続で、ついにドイツのショイブレ財相は19加盟国のECB金融策はドイツに適していないとまでコメントを出し、不満をあらわにした。ドイツ連銀との政策の相違への不満は高まっている。マイナス金利政策により、経済状況の悪化と共にドイツ国民、金融機関、経済界の不満は増え、最終的にはドイツのEU離脱の可能性がでてきた。