ISのドローン核攻撃を警戒

03.04.2016

Photo: SafeUM

 

ベルギーの連続テロの実行犯がブリユッセル郊外の原子炉攻撃を企ていたことが発覚し、欧州の原発は警戒を強めている。当局が注目しているのは原子炉攻撃計画が単純な爆破を狙ったものでなく、核物質を運び出して「汚れた爆弾」として使うことを狙っていたからだ。

 

キャメロン首相は核サミットでテロリストたちが「汚れた爆弾」で西欧社会を攻撃する恐れがあるとして引き続き警戒を呼びかけている。またテロリストたちが市販のドローンに興味を示していることにも注目しており、ISが核物質を手中に収めることが現実になりつつあるとしている。

 

キャメロン首相はこうした核テロ攻撃の現実味に警戒を隠せない各国首脳は一致して対テロ対策を行うように要請した。米国当局筋によると極めて現実的な核テロシナリオでは病院から持ち出した核物質がテロリストに密売される。キャメロン首相は対テロ対策チームを英国国境警備隊に配置する計画を明らかにした。下の写真は英国の対サイバー攻撃対策本部。

 

 

Source: v3.co.uk

 

英国当局はISが農耕用のドローンの購入に動いていることを突き止めている。また彼らが2014年にイラクのモスル大学から90ポンドのウランを手に入れている。この量の核物質はドローンから散布されたとしても広域にわたる殺傷力はないが、西欧社会をパニックに陥れるには十分だとしている。

 

 90ポンドのウランは40.86kgとなる。広島型原爆は高濃度ウラン(U235が90%以上)で、理論的には100%U235の高濃度ウランで22kgが設計値であった。しかしイラクの大学にあったとすれば研究原子炉の燃料棒と思われる。その場合は純粋なウランでなく二酸化ウランでしかもU235の純度は2-4%の低濃縮ウランなので、通常の原爆なら1個も製造できない量である。しかし上空から散布すれば、広範囲の領域を避難させる放射能汚染を引き起こせるので、住民のパニックを目的とするなら威力は十分にあると考えられる。

 

姿の見えない敵であるテロリストへの原子炉の安全保障と核物質の安全管理はベルギーテロで現実的な問題となった。今回のワシントン核サミットの目的は対テロ核安全保障が焦点となっている。英国は警官1,000名を新たに補充しロンドン郊外でのテロ対策に充てる。また400万ポンドの予算を対サイバー攻撃につぎ込む。