Photo: VICE NEWS
米フロリダ州オーランドの同性愛者が集まるナイトクラブで射殺事件を起こした米国人オマル・マティーン容疑者は、12日朝に警察に電話をかけ「イスラム国」指導者への忠誠を誓った。同性愛者への嫌悪、2人のテロ事件容疑者との関係、サウジアラビア訪問、CIA 工作員の過去を持つイスラム原理主義導師ロバートソン氏との関係で、マティーン容疑者の人物像がみえてくる。
・13日にサウジアラビア当局は、マティーン容疑者が2011年と2012年に巡礼を目的にサウジアラビアを訪問したことを発表。
・FBI捜査によると、テロ標的の一つとして、ウォルト・ディズニー・ワールドを訪れていた。
・マティーン容疑者は、FBIによってテロ組織などに関わっている疑いがあるとして2013年と 2014年に事情聴取を受け、捜査は半年以上続いたが、証拠不十分で捜査は打ち切られた。1回目はボストン・マラソン爆弾事件の容疑者と知り合いで、同様な過激的発言や思想をもっていることを職場同僚に自慢していたことで、FBIは爆弾事件との関係性があるとみて捜査を行った。2回目は2014年にシリアでイスラム武装勢力に加わって自爆攻撃を行った初めての米国人と知り合いで、フロリダで同じモスクに通っていたことからその関係が疑われた。
・マティーン容疑者の父親のSeddique Mir Mateen氏は、アフガニスタンからの移民である。アフガンのタリバン思想支持者であり、YouTubeや Facebookでは、フロリダの自宅からアフガニスタン大統領候補としての活動を行っていることを公表している。アフガン現政権の転覆を呼びかけており、イスラム教では同性愛は罪状であり、同性愛者には迫害行為をとるべきと過激発言をしている。
Photo: Mr. Mateen's Facebook
・1993年の米世界貿易センター爆破事件の首謀者であるオマル・アブドッラフマーンのボディーガードを務めた元米海兵隊員のマーカス・ドゥエイン・ロバートソン(イスラム名Abu Taubah)の信仰者であった。
1980年代に米CIAから支持を受けていたアブドッラフマーンはウサマ・ビン・ラーディンと共に、ムジャーヒディン(イスラム教の大義にのっとったジハードを遂行する戦士たち)の組織化に取り組んだ。 CIAとの関係は長く、アフガン紛争中にはCIAから資金提供を受け、英国や米国で多くのイスラム教徒に過激的思想を教え、アフガン紛争で戦う戦士をリクルートした。後にアルカーイダの思想上の指導者となる。
1993年に世界貿易センター爆破事件の関連で捜査対象となるが、CIAが捜査を妨害する。最終的には首謀者として逮捕され、終身刑が下される。公表されたCIAの内部資料によると、世界貿易センター爆破事件に関わった容疑者たちにCIA は訓練と資金援助を提供したため、「 CIAにも一部過失がある」と示している。
オマル・アブドッラフマーンのボディーガードを1990年に務めたロバートソン氏は、それまでCIA工作活動を行っていた。2011年には「アリババと40人の盗賊」と名乗るギャング集団を先導してニューヨークで銀行、郵便局、個人宅での強盗容疑で逮捕される。その後、マティーン容疑者が通っていたオーランドのモスクのイマーム(イスラム教導師)となり、イスラム教の教えとして、海外で自爆テロ訓練を受けに行くよう信者に進めていた。マティーン容疑者はここでイスラム過激思想を学び、ロバートソン氏が運営するイスラム原理主義思想神学校のネットサイトの登録会員であったことが判明している。