Photo: japanbullet.com
東北大地震、熊本地震の次はどこが襲われるのだろうか。フイナンシャル・タイムス紙が異例といえる”Japan: the next big quake”というタイトルで大々的な警告を出した。次の地震というのはマグニチュード8.0-9.0で起こる南海トラフ地震のことである。安倍首相は2013年に専門家が30年以内と想定する南海トラフ地震の最悪シナリオを公開し、注意を喚起している。これもまるで起こることを予見したかのような警戒ぶりである。地震は静岡沖で海溝型地震として起きるが、そのため10mの津波が沿岸を襲う。東京の大部分は海抜が低くひとたまりもない。
熊本地震はマグニチュード7.3の内陸型地震が2度あったため、短周期型の振動で数千家屋に大きなダメージを与え49名の犠牲者を出した。南海トラフで東京はどのような被害を受けるのだろうか。地震による人的被害と建物破壊はGDP40%にあたる地域に壊滅的な打撃を与える。財政負担を急激に増やすとともに国防上のリスクを伴う。単なる震災の枠を超えてまさに滅亡の危機を迎えることになる。
日本にはもともと地震リスクが存在していた。4つのプレートの境界に位置するからである。海溝型地震というのはプレート同士の境界で一方が他方の下に沈み込むことで発生する。東北大震災の場合が代表的であるがこの地震は熊本地震と同じように2つの地震がほぼ同時に起きたことで被害が拡大した。要するに1箇所で地震があれば、近くの活断層が影響を受けて眠りから目をさますのである。
Sourece: Financial Times
南海トラフは3つの区域に分けられるが、全体で見れば100-150年周期で大地震が起きていた。しかし南海、東南海地域では1940年代後半に大地震が起きているが、東海区域だけが158年間、地震が起きていない。つまり今すぐ起きてもおかしくない、というのが警告の背景にあるようだが、これが起きれば日本経済がきっかけで、世界経済が金融危機を予測しているところが不気味である。
3つの区域が同時に地震を発生すれば、あるいはひとつが契機となり他の2区域に地震を誘発すれば相乗効果でマグニチュード9.0、東海区域のみでは8.0と予測される。政府のリスク評価ではマグニチュード8.0以上が20年以内に起きる確率は50%、30年以内は70%、100年では90%である。
確率論で災害を論じることの無意味さを福島第一事故から我々は学んだ。旅客機も原子炉も当事者にとっては、事故リスクの低さなどどうでもよくなる。地震対策は一気にやればコストがかかるので、常日頃から弱点を補強していく姿勢が必要だ。そのためには再び土建に励む姿勢、「コンクリートより人へ」の真逆の転換が必要となる。しかしこれは結局人を救うことになるので「人のためのコンクリート」という発想が必要なのではないだろうか。GDPは付いてくるし金融も流通性が増すだろう。
もし地震を日本に仕掛けてくる人々がいるとしたら、それこそ一番恐れることではないか。