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中東発のロシア民間機が爆弾テロで墜落した事件が記憶に新しいが、フライドバイというエアラインのボーイング737(正確には737-800で738とも呼ばれる)がロシア国内(Rostov-on-Don)で墜落し乗員乗客62名が死亡した。
墜落の様子はCCTVカメラに記録されており火の玉となって地上に激突し炎上した。墜落した旅客機ボーイング738はボーイング社のヒット作ナローボデイ機でドバイ発フライドバイFZ981便である。地表に急角度で激突後に爆発炎上した様子は炎上しながら墜落したことを示している。
FZ981便は着陸に一度失敗し滑走路上空を旋回して再度進入を試みていた。航空管制官の話では悪天候で視界不良の中の着陸で滑走路より50-100m前に地上に激突したという。フライドバイはUAEのLCCでエミレーツ航空同様にUAEが筆頭株主でドバイを拠点として90都市へ飛んでいる。事故情報はフライドバイのウエブサイトを参照のこと。
当局は墜落原因については自己調査が終了しないと確認できないとしているが、着陸時の事故としては急角度(70-80度)であることと、墜落時に炎上していたことから単純に降下が早すぎたためとも考え難い点が憶測を呼んでいる。なお着陸時の侵入角度は通常は3度程度である。FZ981便は天候回復を待って、待機旋回(Holding Pattern)を10回(2時間)繰り返していた。
FZ981便の管制塔との交信は下にある動画にあるが、当時の視界は3500m、シアウインド予報なし、小雨、風は14-18m/secであった。シアウインドの可能性はないが2回目のアプローチに至る旋回で急激に高度が下がり地表に激突した。
FZ981便はドバイ国際空港を現地時間金曜日の午後10:38に離陸、ロストフ空港に午前3:49に着陸予定であった。2015年のシナイ半島で起きた爆弾テロによる墜落では整備員が荷物室に仕掛けた電子機器を装った爆弾によって乗員乗客224名が犠牲となった。
Source: radioacion
着陸時に進入角度を間違えて墜落した例としては、1972年に日本航空471便(DC-8)がニューデリー国際空港の滑走路手前に墜落し、乗員乗客86名と地上の4名の90名が死亡した事故がある。事故原因は不明とされたがILS誘導電波の異常もしくは航空機のILSとVOR切り替えスイッチがVOR設定でILS誘導と間違えて誤った高度情報を頼りに、降下を行ったためである。VOR設定のままだとILSの垂直位置情報が表示されず、VORの水平位置情報のみとなる。
当時はインドなど発展途上国の空港ではILSの不調があったことも十分考えられるが、現在はILS不調で着陸許可を出すはずはないし、まして悪天候でVORのみを頼りに着陸を強行するはずはない。
また下のビデオにある進入角度はきつすぎることと墜落前に炎上し火の玉になっていたことからは進入手順の問題とは考え難い。真相究明はブラックボックス解明が待たれるところであるが、着陸失敗では片付けられないように思える。ボーイング737は7800機が生産された客席数100-200の傑作ナローボデイ機で、737-800は最新の世代(注1)でサウスウエスト航空を筆頭にJAL、ANAをはじめ多くエアラインが採用している。
(注1)737-800、737-900などの第三世代に対して737-MAXは7-9まで3つの派生型を持つ第四世代737とされる。