Photo: Mirror
服装に腹を立てて女性を刺したイスラム教徒
宗教戒律がもとで刺傷事件が起きた。AFPによるとフランスのリゾート地(グルノーブルに近いラグラン)の別荘にモロッコ国籍のイスラムの男が侵入し、朝食をとっていた女の子3人(8-13歳)と母親(46歳)を宗教的戒律に背いたとして、ナイフで刺して逃走した後に逮捕された(AFPBB News)。
犯人はベランダで朝食中の4名の女性たちの露出度が多すぎるという理由で襲撃した。フランスのリゾート地でしかも個人の邸宅内での犯行に付近の住民は困惑している。
リゾートの別荘の敷地内でイスラム教徒でない人間がどのような服装でいるかは個人の自由である。犯人の宗教感覚が西欧社会と整合しないために犠牲者を出すことになった。
最も重症の8歳の女の子は肺破裂でグルノーブルの病院で手当てを受け快方に向かっている。多様性の文化につきものの戒律問題が、ヘイトクライムの20%を占める宗教的ヘイトクライムに発展した。イスラム教徒といっても地域、種族、宗派によって戒律の厳しさは千差万別で、決して一枚岩ではないが、過去に厳しすぎる戒律で事件を起こしていた。
Source: pinterest
サウジアラビア火災で戒律で女子学生が犠牲に
2002年3月11日にサウジアラビアのメッカの女子校で火災が発生した。逃げようとした女子学生が戒律に反する状態で逃げようとしたところを宗教警察に止められ、逃げ遅れて14名の若い命が失われた。この事件の原因は宗教警察(注1)の行き過ぎた戒律規制にある。
(注1)正式名はCommittee for Promotion of Virtue and the Prevention of Vice。目撃者によれば宗教警察が逃げ出そうとする女子学生が戒律で決められた服装をしていなかったため、火災救助活動を阻止し女性達に規律に反しない服装に着替えさせているうちに手遅れとなった。
戒律が厳しいのは平常時に許されたとしても、火災で生きるか死ぬかの分かれ道にいる人に平常時の服装を強要したことで、世界的な非難を浴びることとなった。また宗教警察は救助しようとした自警団も正門で阻止していた。逃げ遅れた女生徒たちは正門までたどりついたが宗教警察によって正門を通って脱出することを拒否された。
半袖厳禁、顔出し厳禁などは序の口でイスラム教の女性差別は徹底している。選挙権から車の運転まで広範囲にわたって基本的人権が認められていない。サウジアラビア以外にもマレーシアなど東アジアのイスラム国家まで影響が及んでいるが、観光客にドレスコードを要求することで観光産業に悪影響を与えている。サウジアラビアは将来、メッカを観光産業化する計画であるが、戒律の大幅緩和がない限り無理な計画である。
Photo: istanbul100bars.com
イスラムでも開放的なイスタンブール
しかしイスタンブールの女性たちはイスラム戒律などどこ吹く風で、夜はナイトクラブで西欧社会と差がない生活を現実に送っている。上の写真はイスタンブールのナイトライフを楽しむ若い女性達。街でみかける若い女性はローライズ・ジーンズでローマとさほど変わらない。イスラム教の弱点は戒律に格差がある矛盾と時代錯誤の女性差別にある。
こうした矛盾が宗教的団結力を弱くしていくことに宗教指導者たちは気がついているだろう。そのために戒律を厳格化するのかもしれない。多様性文化は諸刃の刃で、いつしか相互に混じり合い相互に社会が変化していく。宗教指導者が最も恐れ認めたがらないのはそのことなのだろう。